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のど飴成分が糖尿病ラットの血糖値低下と筋力改善に効果を示した

のど飴成分が糖尿病ラットの血糖値低下と筋力改善に効果を示した

のど飴成分が糖尿病ラットの血糖値低下と筋力改善に効果を示した
のど飴成分が糖尿病ラットの血糖値低下と筋力改善に効果を示した / Credit:Canva

韓国の慶北大学校(KNU)で行われた研究によって、古くから「のど飴」などに使われる殺菌成分「4-ヘキシルレゾルシノール(4HR)」を糖尿病ラットに投与すると、血糖値が下がり、やせて弱っていた筋肉の状態も良くなることが分かってきました。

さらに、培養皿の上で育てたマウスの筋肉細胞に4HRを加えると、その細胞が取り込むブドウ糖の量はふつうの5倍以上に増え、ブドウ糖を取り込む入口として働くたんぱく質GLUT4(グルットフォー)の動きも活発になっていました。

つまり「のどの消毒用」として知られてきた成分が、運動したときに近い形で筋肉に糖を取り込ませ、糖尿病で弱った筋肉を助ける薬の候補になるかもしれない、という意外な結果が出てきたのです。

研究内容の詳細は2026年1月20日に『bioRxiv』にて発表されました。

目次

  • のど飴成分で糖尿病を改善できるか?
  • 「のど飴成分」がラットの糖尿病に効く仕組み
  • 運動模倣薬への長い道のりと、今回の一歩

のど飴成分で糖尿病を改善できるか?

のど飴成分で糖尿病を改善できるか?
のど飴成分で糖尿病を改善できるか? / Credit:Canva

「運動した方がいいのは分かっていても、なかなか続かない」。

糖尿病をもつ人であれば、一度は感じたことがある悩みかもしれません。

特に、高齢で関節や心臓に負担がある人にとっては、「運動しなさい」というアドバイス自体が重荷になります。

さらに困ったことに糖尿病では、血液中のブドウ糖が多くなるだけでなく、運動に必要な筋肉側のトラブルも同時に進みます。

もともとヒトの骨格筋は全身の中でも大量のブドウ糖(血糖)を消費する組織です。

健康な人では、運動したり食後にインスリンが出たりすると、筋肉の細胞がどんどん血糖を取り込みます。

健康な人の筋肉の細胞は、運動したり食事をすると表面に「糖のドア(GLUT4)」が増えて、血液中から糖を取り込むからです。

しかし糖尿病になると、この「糖のドア」の数や場所が乱れ、インスリンがあっても、糖がうまく筋肉に入らなくなります。

糖が入らない筋肉はエネルギー不足になり、やせ細っていきます。

これが「糖尿病性サルコペニア」と呼ばれる状態です。

では運動の代わりに筋肉のスイッチを入れてあげられないか──これは糖尿病研究における夢の一つです。

実際、運動効果を真似る薬(いわゆる「運動模倣薬」)の研究も進んでいますが、安全かつ有効なものを見つけるのは簡単ではありません。

そんな中注目されたのが、4-ヘキシルレゾルシノール(4HR)という身近な化合物でした。

4HRは昔からのど飴の殺菌成分や美白化粧品の有効成分として利用されており、抗酸化作用や抗炎症作用など多彩な生物活性を持つことが知られていました。

(※海外の「のど用のトローチ」などには4-ヘキシルレゾルシノール(4HR)が含まれている製品がありますが、日本では4HRが含まれたのど飴や薬用のトローチはほとんどありません。また日本では食品添加物としての使用も認められていません。)

また近年では細胞の「燃料メーター(AMPK)」を活性化することがわかってきました。

またこの燃料メーターが活性化されると、細胞は燃料不足を察知し、「糖のドア」を増やすことも知られていました。

そこで研究者たちは、こののど飴成分(4HR)は細胞の「燃料メーター」と「糖のドア」を介して血糖値の改善や、糖尿病状態の筋肉を元気にできる可能性があると考えました。

もしそれが本当なら、「のど用の薬だと思われていた成分」が、筋肉の燃費と筋力の両方を少し底上げできるかもしれません。

本当にそんな都合の良いことが起こり得るのでしょうか。

「のど飴成分」がラットの糖尿病に効く仕組み

Credit:4-Hexylresorcinol Enhances Skeletal Muscle Glucose Handling through the AMPK-GLUT4 axis in Diabetic Rats

のど飴成分4HRは、本当に筋肉のスイッチを押せるのか?

答えを得るため研究者たちは糖尿病にしたラットに、4HRを体重1キログラムあたり10ミリグラム、週5回、7週間にわたって皮下注射しました。

その結果、何も投与しなかった糖尿病ラットにくらべて、4HRを投与したラットの空腹時血糖は有意に低くなり、ブドウ糖を打ったあとの血糖値の戻りも部分的に改善しました。

血液中のインスリンや、すい臓のランゲルハンス島の形にも、構造が部分的に保たれるなどの改善傾向が見られました。

さらに筋肉そのものにも変化が出ました。

糖尿病ラットでは、筋肉のグリコーゲン(糖の貯金)が大きく減り、筋肉がやせ細っていましたが、4HRを投与したラットでは、グリコーゲンがかなり戻り、グリコーゲンがぎっしり詰まった筋線維の割合も増えていました。

逆さにした網にしがみつかせて持久力と握力を測るテストでは、4HRを投与したラットの方が、何も投与していない糖尿病ラットより長くしがみつくことができました。

完璧に健康なラットと同じレベルに戻ったわけではありませんが、「筋肉のやつれ」が少し和らいでいることが分かります。

では、ラットの筋肉の中で何が起きていたのでしょうか。

筋肉を染色して調べると、糖尿病ラットでは大きく減っていた「糖のドア(GLUT4)」が、4HR投与群ではほぼ正常ラットに近いレベルまで戻っていました。

同じく落ち込んでいた「燃料メーター(AMPK)」周りの反応も回復しており、筋肉細胞が糖を取り込む仕組みが「再起動」しているような状態にありました。

また細胞レベルでの実験ではよりはっきりした結果が得られました。

「培養されたマウス由来の筋肉細胞」に4HRを加え、蛍光で光るブドウ糖を食べさせ、どれくらい取り込むかを測りました。

その結果、4HRを加えた細胞は、何もしていない細胞に比べて、ブドウ糖の取り込み量が5倍以上に増えていました。

さらに顕微鏡で見ると、「糖のドア(GLUT4)」が細胞の中から表面近くに移動しいる様子も観察されました。

以上の結果から研究者たちは、4HRは細胞の「燃料メーター」と「糖のドア」のかかわる経路を再活性化させ、糖尿病で弱った骨格筋の糖処理を改善する可能性がある」と結論づけています。

配信元: ナゾロジー

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