
竹は地球上でもっとも成長の早い植物であり、種類によっては1日に約90センチ伸びることもあります。
建材や家具、紙の原料として知られるこの植物は、「食べ物」としても注目され始めています。
こうした中、イギリスのアングリア・ラスキン大学(ARU)の研究チームが、竹の摂取と健康への影響について、これまでに発表された研究を体系的に検証しました。
その結果、竹には血糖調節や腸の働きの改善など、いくつもの健康効果が示唆されていることが分かってきました。
この研究は2025年11月18日付の『Advances in Bamboo Science』に掲載されています。
目次
- アジアでよく食べられている「竹」「タケノコ」の効果をまとめた研究
- 竹はスーパーフードとしての可能性を秘めている
アジアでよく食べられている「竹」「タケノコ」の効果をまとめた研究
竹はアジアの多くの地域で古くから食べられてきました。
特にタケノコは、中国や日本、東南アジアでは日常的な食材です。
しかし意外なことに、竹を食べることが人の健康にどのような影響を与えるのかを科学的に整理した研究は、これまでほとんど存在していませんでした。
個別の研究では、血糖値やコレステロールへの影響、抗酸化作用などが報告されてきましたが、それらは断片的で、全体像が見えにくい状態でした。
そこで研究チームは、竹が健康食品と呼べる段階にあるのか、そしてどこまでが科学的に確認されているのかを明確にするため、システマティック・レビューを行いました。
研究チームは医学や栄養学分野の主要な論文データベースを用い、竹の摂取と健康影響に関する過去の研究を徹底的に検索しました。
その上で、人が実際に竹やタケノコを食べた研究や、ヒト由来の細胞を使って竹成分の作用を調べた研究、さらに食品加工における竹成分の影響を検討した研究などを厳選。
最終的に分析対象となったのは16本の研究で、そのうち実際に人を対象とした研究は4本に限られていました。
整理された研究からは、竹やタケノコの様々な利点が見えてきました。
まず、竹はタンパク質が豊富で、適度な量の食物繊維を含んでおり、脂質は少ない食べ物です。
またアミノ酸、炭水化物、ミネラル、ビタミン(A、B6、Eなど)も豊富です。
そして、竹の摂取が血糖コントロールや血中脂質、腸の働き、抗酸化や抗炎症作用など、さまざまな健康指標に関わっている可能性が報告されています。
さらに、竹由来の成分が揚げ物などで生じる有害物質の生成を抑える可能性も示されていました。
竹やタケノコにどんな効果があるのか、具体的な点は次項で確認しましょう。
竹はスーパーフードとしての可能性を秘めている
ヒトを対象とした研究の中では、タケノコを含む食品を摂取した際に、食後血糖値の上昇が抑えられたという報告があります。
血糖値の急激な上昇が抑えられることは、糖尿病の管理や予防において重要な意味を持ちます。
この効果の理由として考えられているのが、タケノコに含まれる食物繊維の存在です。
竹の食物繊維は主にセルロースやヘミセルロース、リグニンといった不溶性成分で構成されており、消化吸収の速度を緩やかにする働きがあると考えられています。
別の研究では、タケノコを食物繊維源として摂取した人で、総コレステロールやLDLコレステロールが低下した例も報告されています。
これも食物繊維によって腸内で脂質の吸収が抑えられ、血中の脂質バランスが改善した可能性を示しています。
さらに、便の量が増え、排便の頻度が高まったという結果も示されています。
また細胞を使った実験では、竹由来の成分が活性酸素を抑え、炎症反応を弱めることも確認されています。
興味深いのは、竹の成分がアクリルアミドやフランといった、揚げ物や焼き物で生じる有害物質の生成を抑えたという報告です。
これは竹が単なる食材にとどまらず、食品加工をより安全にする素材として利用できる可能性を示しています。
一方で、この研究はリスクについても明確に指摘しています。
一部の竹にはシアン配糖体が含まれており、適切な下処理を行わずに食べると有害になる可能性があります。
また、竹の成分が甲状腺ホルモンの合成を妨げ、甲状腺腫のリスクを高める可能性を示した研究もあります。
これらのリスクは正しく下茹でを行うことで回避できるとされていますが、過剰摂取を避けることも重要かもしれません。
さらに研究チームは、ヒトを対象とした研究が4本しか存在しないことから、健康効果の証拠は不足しており、今後より多くの参加者を対象とした質の高い臨床研究が必要だとしています。
竹は成長が早く、さまざまな用途に使われてきた植物であり、栄養面だけでなく、持続可能な食材候補としても注目されています。
今後の研究が進めば、竹の食品としての位置づけは大きく変わる可能性があります。
参考文献
World’s fastest-growing plant is also a surprising superfood
https://newatlas.com/diet-nutrition/bamboo-superfood-health/
Study suggests bamboo has ‘superfood’ potential
https://www.aru.ac.uk/news/study-suggests-bamboo-has-superfood-potential
元論文
Bamboo consumption and health outcomes: A systematic review and call to action
https://doi.org/10.1016/j.bamboo.2025.100210
ライター
矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。
編集者
ナゾロジー 編集部

