最新エンタメ情報が満載! Merkystyle マーキースタイル
世界を壊すか、壊されるか 必見の一週間限定上映『よそ者の会』西崎羽美監督・川野邉修一・坂本彩音インタビュー

世界を壊すか、壊されるか 必見の一週間限定上映『よそ者の会』西崎羽美監督・川野邉修一・坂本彩音インタビュー

どこにいてもよそ者だと感じる者たちがひとつの場所に集まり、それぞれの秘密が交錯する様を描いた映画『よそ者の会』。2023年に制作され、インディーズ映画の登竜門として知られる第18回田辺・弁慶映画祭でキネマイスター賞を受賞。セルフリメイク版『よその者の会』(2025)と共に、1月24日より渋谷ユーロスペースにて一週間限定上映されます。

大学の清掃員として静かに働く傍ら、密かに爆弾作りに没頭している・鈴木槙生を主人公に、2023年版と2025年版それぞれの魅力を放つ、必見の中編作品。西崎羽美監督、鈴木槙生を演じる川野邉修一さん、坂田絹子を演じる坂本彩音さんにお話を伺いました。

——本作とても楽しく拝見いたしました。本作はこれまで「田辺・弁慶映画祭セレクション」や「大阪アジアン映画祭」にて上映されてきましたが、どの様な反響でしたか?

西崎:私としてはシリアスな気持ちで描いたお話だったので、色々なシーンで笑い声が起きていて、ここ笑うポイントなんだ!と意外に感じたり、そんな反応が面白かったです。

川野邉:僕、割とそのまんまのキャラクターで出ているので、友達には「いつもの川野邉くんで不思議な感じ」と言われました。あとは、本当に爆弾作りそうな人に見えるらしくて、舞台挨拶で登壇した時はざわついた空気がありました。

——そうやって怖がられるというのは、作中でのキャラクターがリアルだったということですので、俳優冥利につきそうですね。

川野邉:そうですね。キャラクターと僕自身がリンクしていて演じやすかったということもあるし、シナリオがとても良かったのですごく演じやすかったです。

——どのシーンで笑いが起きたことが印象的でしたか?

西崎:2025年版は、「よそ者の会」の中での会話で笑いが起きていた印象があります。「この人たち何言ってるんだろう」と思われたのではないかと。ずっとしょうもないこと言っているなって。

坂本:2023版は、絹子が「何か質問ありますか?」と槙生さんに尋ねた時に、槙生さんがしっかり挙手するシーンで、クスクス笑っている方が多かったと思います。

川野邉:槙生が「よそ者の会」の見学に来るんだけど、みんな大学への不満や学生っぽい会話が続いて、ポツンと取り残されている図も可笑しいと言われましたね。つまらなそうにしている空気かなり出ているので。

坂本:笑いももちろん起きていたのですが、全体的には「ハラハラする」という感想をいただくことが多かったですね。あと、画としての面白さが評価されているなと言う印象がありました。物語に合わせて俳優の表情を撮るというよりも羽美ちゃん(西崎監督)ならではの視点というか、「ここから撮るんだ」という意外なシーンが多分きっと多かったんだと思うんです。特に大教室の階段のシーンは、「あのシーンが好きです」と絶対言われるくらい強いシーンで、私ももちろん好きです。

——どのシーンも本当に素敵で、2023年版は特に“引き”のショットが多いように感じました。

西崎:2023年版は大学4年生の時に自分の大学で撮ったのですが、その場所を離れちゃうことへの想いが強かったこともあって、人よりも建物を撮ることに力を入れていたんだなと後から感じました。2025年版は大学卒業した上での撮り直しで、もうちょっと人を撮ってみようと思いましたし、画角なども変えています。

——2023年版と2025年版で「よそ者の会」のメンバーの人数やキャラクターが変化していますよね。

西崎:2025年版を撮ることが決まった時に、「よそ者の会」メンバーそれぞれにどういう社会的背景があって、どういう思想を持っているのか詰めていく中で、爆弾を作ることに大賛成の人、参加しない人、それぞれの立場を入れようと思いました。
学校や周りの友達や知人を観察しながら、「この人が『よそ者の会』にいたらどうだろう」と想像して人物を作っていきました。「将来、泥棒になろうと思っている」と告白するメンバーがいますが、あれは実話です。

坂本:団体行動が苦手なので、泥棒になるんだと。

——あれが実際にあった発言だというのは驚きですね…!絹子のキャラクター造形についてはいかがですか?

西崎:絹子は私自身のことを重ねながら書いた、一番自分と距離が近い人物だと思います。大学で自分の居場所があったなとかは全然思っていなくて、大学在学中から、映画美学校に通っていましたし、入学したタイミングでコロナ禍が始まったりしたので、あまり通っていないんですよね。グループにも入っていなかったですし、私、全然なここに安心感ないな、と。馴染めない代表として絹子という人物を入れました。

——そんな絹子を坂本さんはどの様に演じようと思いましたか?

坂本:私は美術大学を卒業しているのですが、美大はそもそも社会不適合な人が多いというか、「よそ者の会」メンバーみたいな人も多くて。それぞれがそれぞれのままで受け入れられている、ユートピア的な世界で居心地がすごく良かったです。なので、集団の中で疎外感を感じるということは、自分自身はあまり無かったのですが、居場所を求めてそ場所になんかすがりつくみたいな感覚はすごく分かるんです。そういう感覚は自分の中にもあるなと思っていたので、特別役作りをしたというよりはフラットな状態で臨みました。
川野邉さんはアクターズの同期だったので、どういう演技をするかも元々知っていて。すごく良いお芝居をされるなと思っていたんです。私はずっと演劇をやってきたからこそ素のまま舞台に立つことは難しいと思っていて、無理に演じてしまったり、クセで綺麗に喋りすぎちゃうことも多くて。川野邉さんは素の状態で演じることが出来る方だから、同じ温度でその芝居を返そうと考えていました。

——川野邉さんは槙生というキャラクターをどう作り上げていきましたか?

川野邉:何回かリハーサルをする中で、撮影の時にどのくらいのテンションで行くかということを考えていたと思います。ストーリーが展開していくにつれて、絹子や周りとの関係性が変わっていくので、その最終地点をどこにするのかというのは、監督ともすり合わせをしていました。
僕は監督として作品を撮ることもあるので、「このシーンは何%のテンションで」ということを考えたり、今自分がカメラで狙われているとしたら、入ってくるまでに何秒ぐらいあった方が気持ちいいかな、とか考えながら演じています。そういうことを考えるのが結構楽しいんです。

——1月24日からは渋谷ユーロスペースで、2023年版と2025年版を同時に上映しますが、両方見比べることが出来るということがすごく贅沢だなと思います。観客の方にはどういった点に注目して欲しいですか?

坂本:2023年版は槙生と絹子の話、2025年版は「よそ者の会」全体の話だなと感じています。私は、2023年版を何回も何回も観ているんです。居場所を求めていた人と、現状を変えることを望んでいた人が出会って、で、お互い欲しいものを手に入れたことによって、お互いが離れていくという流れがすごく面白いなと思います。
また、この作品の謎の余白みたいなのがものすごく好きで、観れば観るほど味が変わってくるというか、このシーンで光変わったな、とか。その光の変化が槙生の感情の変化ともリンクしている気もして。毎回発見があります。
2025年版はとにかく映像がカッコ良いです。画のカッコ良さがどのシーンも際立っているので、大きなスクリーンで観ていただきたいですし、私自身もまたスクリーンで観られることが楽しみです。

——2023年版で、槙生がはじめて「よそ者の会」に参加した時に、会話中に陽が翳って、また刺して…というシーンがとても印象的でした。

川野邉:そのシーン僕もすごく好きです。演出とかではなくて、偶然陽が入ったんです。その加減がとても良かったので、「これは絶対OKカットだ、ミス出来ないぞ」と芝居しながら気合いを入れ直す感覚だったことを覚えています。
2025年版の方は「よそ者の会」メンバーが5人になったので、掛け合いがすごく楽しい現場でしたし、1人1人にちゃんとフォーカスが当たって、キャラクターの想いがバトンが渡されていく様に展開していくことが素敵だなと思いました。

——西崎監督のこれから作られる作品にも期待が高まります。

西崎:ありがとうございます。『よそ者の会』で、同じテーマで2本撮れたということが、自分の中ですごく大きくて。そんな機会はもう無いと思いますし、2本ともこうして誰かの目に触れることが出来たことをありがたく感じています。
『よそ者の会』すごく小さなコミュニティの話だったなと思うので、もうちょっと大きな世界というか、社会が反映された作品を作ってみたいなと思って今頑張っています。

——今日は素敵なお話をありがとうございました!

『よそ者の会(2023)』+『よそ者の会(2025)』
二作連続上映|ユーロスペースにて一週間限定公開

1/24(土)~29(木)連日20:35の回
1/30(金)最終日のみ20:05の回
http://www.eurospace.co.jp/works/detail.php?w_id=000945 [リンク]

<イベント情報>
1/24(土)初日舞台挨拶
登壇者(予定):川野邉修一、坂本彩音、藤家矢麻刀、みすみのり(以上、出演)、西崎羽美監督

1/25(日)上映後トーク
川野邉修一、西崎羽美監督 × 山田由梨さん(作家・演出家・俳優)

1/26(月)上映後トーク
西崎羽美監督 × 菊地健雄さん(映画監督)

1/27(火)上映後トーク
西崎羽美監督 × 矢田部吉彦さん(前東京国際映画祭ディレクター)

1/28(水)
坂本彩音、西崎羽美監督 × 清原惟さん(映画監督)

1/29(木)
西崎羽美監督 × 末廣末蔵さん(ジャンル映画大好きツイッタラー)

1/30(金)最終日舞台挨拶

撮影:たむらとも

配信元: ガジェット通信

あなたにおすすめ