今年のNBAオールスターゲームのファン投票で、ポートランド・トレイルブレイザーズのデニ・アブディヤは、ウエスタン・カンファレンス5位の220万2605票を集めた。
これはロサンゼルス・レイカーズのレブロン・ジェームズ(181万9776票/8位)、ヒューストン・ロケッツのケビン・デュラント(155万4668票/9位)といったベテランスターだけでなく、ミネソタ・ティンバーウルブズのアンソニー・エドワーズ(196万957票/7位)、サンアントニオ・スパーズのヴィクター・ウェンバンヤマ(196万5462票/6位)をも上回る得票数だった。
イスラエルからやって来た203cm・103kgのフォワードは、昨季までのキャリア5シーズンで個人賞とは無縁。それでも、ワシントン・ウィザーズで4シーズンを過ごし、2024年7月のトレードでブレイザーズへ移籍後、着実に自身の立ち位置を固めてきた。
現地時間1月21日に『The Athletic』へ公開された記事の中で、アブディヤは2024年12月に当時の指揮官チャンシー・ビラップスHC(ヘッドコーチ)からオフィスに呼ばれて、「リバウンドを取ったら自分の番なんだから、とにかくプッシュして走れ」と、役割を簡素化されたことがターニングポイントになったと明かした。
ウィザーズ時代も含めて自身の役割に戸惑いがあった男は、これを機に覚醒。フォワードとしては速さがあり、ガードにしては高身長と、器用貧乏の感もあったアブディヤだが、トランジションで繰り出すプレーはブレイザーズが目指すスピード、アグレッシブ、フィジカルを象徴するプレースタイルの型になり、チーム最大の武器へと化していった。
ブレイザーズ在籍2年目の今季。アブディヤは、41試合に出場して平均26.2点、7.1リバウンド、6.9アシストと、自己最高のシーズンを過ごしている。
チームは21日時点でウエスト9位の22勝22敗(勝率50.0%)。ただ昨年12月28日以降で見ると、リーグ2位タイの10勝3敗(勝率76.9%)の快進撃、アブディヤは1月に入ってリーグ5位の平均30.3点に6.7リバウンド、7.1アシストと数字を伸ばしている。 今季のブレイザーズはデイミアン・リラードがアキレス腱断裂からのリハビリため全休。さらにはスクート・ヘンダーソン、ドリュー・ホリデーもケガに苦しんでいて、登録上のポイントガードがなかなか揃わないなか、アブディヤが牽引役を担っている。
「みんなには理解してほしいね。彼がチームを引っ張っている。しかも、彼は違うポジションでそれをやっているんだ」
ティアゴ・スプリッター暫定HCがそう評した通り、今季のブレイザーズはアブディヤを中心に回っている。スターター枠こそ落選したものの、HC投票で決定するリザーブ枠で、オールスター初選出を飾る可能性は十分あるだろう。
今季ブレイザーズに帰還し、来季からの復帰を目指すリラードも、新進気鋭のフォワードの活躍に目を細める。
「今のリーグで絶対に欠かせない選手だと思うね。彼はリムにプレッシャーをかけ、相手のファウルを引き出し、3ポイントも決められる。サイズもスピードもある。
リーグは変化しつつあるが、チームとして成功したいなら、彼のような選手が不可欠だ。これらすべてができるフォワードが必要なのさ。そして、彼はまさにそのすべてを兼ね備えている」
さらに、「俺にとって、彼はまさに一緒にプレーする上で完璧なタイプのフォワードだと思う。パスをつなぐのが上手くて、相手の注意を引き付ける。コートの反対側にいる俺と、彼がガードではなくフォワードであることで、本当に良いバランスが取れるだろう」と来季の共演に期待を寄せた。
ブレイザーズは、2021年を最後に4年連続でプレーオフの舞台から遠ざかっている。今季、進境著しいアブディヤを軸にポストシーズンまで駒を進めることができるならば、リラードが戻ってくる来季はさらに楽しみなチームになるかもしれない。
文●秋山裕之(フリーライター)
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