上にはいい顔をする一方で、同僚や部下にはまったく違う態度を取る…そんな二面性のある人物が、組織の中で評価されてしまうことがある。スターバックスやザボディショップでCEOを務めた岩田松雄さんは、公正な評価を下すためにリーダーがすべきことがあると自身の経験から断言する。
岩田さんが実践してきた具体策とは?『新版「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方』(サンマーク出版)から一部抜粋、再構成してお届けする。
評価は部下の部下に聞いてみる
組織のリーダーにとって、重要な仕事のひとつに部下の評価があります。しかし、これがなかなか簡単なことではありません。
ポジションが上になっていけばいくほど、その難しさは増していきます。なぜなら、部下の本当の姿がなかなか見えてこなくなるからです。
実際、上にばかりいい顔をする、という人が存在します。なのに、自分の部下にはひどい対応をしたりしている。私も、そういう人を何人か見てきました。そして、期待を裏切られたことも何度もありました。
私の経験からいえることは、上にゴマをする人は、下にもゴマをすらせる傾向があるということです。上には腰低く対応するけれど、部下の前ではふんぞり返って偉そうにする。つまり、自分のやっていることと同じことを部下に要求するのです。
そして、自分にゴマをすってくれる人間を重宝する。
あるときそれに気がついたので、私が部下の評価をするときには、部下の部下の意見も聞かないとダメだ、と思うようになりました。
上司にしてみれば、ゴマをするまでいかなくても、自分にいい顔をしてきてくれる部下に、もちろん悪い気はしません。自分のことをきちんと理解してくれて、フォローもしてくれている。そんな見方もできる。
ところが部下の部下に聞いてみると、大変傲慢に接していたり、私の前では見せないような態度で私の悪口まで言っていたりした。そういうことが実際によく起きているのです。
部下を評価するときには、そうした二面性をしっかり見ないといけません。上に対しては低姿勢になり、下に対しては偉そうにする。そうした二重人格者は意外に多くいます。
上を気持ちよくさせるスキルに長ければ出世できる?
部下の部下だけでなく、身近な同僚に聞くのもひとつの方法です。
私は、役員候補として考えていたある本部長について、自分の秘書さんに「あの本部長の評判はどう?」と聞いてみたことがあります。意外にも本部ではとても評判が悪いと聞いたので、人事に調べてもらったところ、机の上に足を乗せたり、部下にタバコを買いに行かせたりしていることがわかりました。
個人破産もしていて、しかも経歴詐称まであったと問題が多かったので、結局会社を辞めてもらいました。このときは、自分自身の人を見る目がなかったと反省しました。
上から見えている評価と、横ないし下から見えている評価は往々にして違う。だからリーダーは、評価についてはできるだけ情報を広範囲から集めるべきです。
あなたも、上にゴマをすり、媚びている人たちが出世していく、という場面を見たことがあるかもしれません。
誰しも、イエスマンで自分にゴマをすってくれる部下と、そうでない部下のどちらを昇進させるかといえば、やはり自分にいい顔をしてくれる部下ということになってしまうでしょう。
とても残念なことですが、上を気持ち良くさせる「サラリーマンスキル」に長けた人は、やはり昇進も早かったりするのです。
私も「そこまで高く評価するほどの人物か」と思える同期が、自分よりはるかに評価されていて「お前も見習え」なんて言われたこともありました。若くして抜擢されたり、花形の部門に異動したり。
しかし、長く仕事人生を送ってきてわかったことは、サラリーマンスキルでは、やはり限界がある、ということです。

