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盲目のスケーターの実生活って?大内龍成に学ぶ「今」を生きる力

盲目のスケーターの実生活って?大内龍成に学ぶ「今」を生きる力

視野のほとんどを失ってもなお、スケートボードの最前線で挑戦を続ける大内龍成さん。前編では、ブラインドスケーターになるまでの軌跡について紹介した。後編では、鍼灸師として社会と向き合い、一人のスケーターとして世界と繋がった大内さんのリアルライフから見えた「今」を生きる力について探る。大内さんの恐怖心との向き合い方、独自のロジック、見据える「共生社会」の未来へ向けた想いについて語ってもらった。

大内さんのスケートボードの様子を動画で!

積極的に周囲に伝えていくことで、スケートボード活動もスムーズに

現在25歳。社会人となり生活も安定し、精神的なゆとりが生まれたという大内さん

――日常生活についてお伺いします。小学一年生の時に発症した進行性の目の病で、現在は視界の95%を失っているとのことですが、生活する上で何か工夫していることはありますか?

大内龍成(以下、大内):基本的には、何事も経験を重ねることで工夫できるようになりますし、できることも増えていきます。メディア出演を含めた社会人生活にもだいぶ慣れてきたので、何かを特別に工夫するというよりは、周囲の大切な人たちからのサポートもあり、心にゆとりが生まれてメンタルが安定したことが大きいですね。

スケートパークに到着したら必ず行う白杖を使ったコースチェック。これで距離感や感覚を掴んでからトライしているそう

――スケートボードをする際の工夫や、周囲に意識して伝えていることはありますか?

大内:スケートパークで初めて会う人には、「目が悪くてあまり見えないので、変な動きをしてしまうかもしれません。迷惑をかけることもあるかもしれませんが、よろしくお願いします」と最初に伝えるようにしています。これを言うか言わないかで、反応が全然違いますね。悪気がなくてもぶつかってしまうことはありますし、それで「見えないからわかってくれ」というのは、都合のいい話ですから。昔は言うのが恥ずかしくて嫌でしたけど、相手に嫌な思いをさせるくらいなら、先に伝えた方がお互い気持ちよく滑れる。すると相手も理解してくれるし、逆に応援してくれたり、SNSを交換してコミュニティが広がったりもします。精神的な余裕があると、物事が自然と好転していくんだなと実感しています。

――コミュニケーションをとることが大切なのですね。

大内:共生社会の話にも繋がりますが、障がい者側からコミュニケーションをとっていくのも大切だと思っています。健常者側に「何かしたい」という気持ちはあっても、具体的にどうすればいいか分からない人も多いはずです。だから僕の方から、「ミスしてボードが飛んでしまった時、近くなら音でわかりますけど、遠いとわからなくなるので、気づいたら拾ってもらえるとありがたいです」とか、「もし迷ってそうだったら、声をかけてください」「今度パークで会ったら、名前を言ってもらえると分かりやすくて助かります」といったことを具体的に伝えるようにしています。

白杖を手にスケートボードに乗る

スケートボードに乗りながら行うコースチェック。白杖がしなっているのがよくわかる

――スケートボードに乗る時に使用している白杖は、普通の白杖と何か違うところはあるのでしょうか?

大内:全くそういうことはなく、歩く時も滑る時も同じものを使っています。分けていた時もありますが、先端の削れ具合などで地面から来る振動が変わるので、スケートボードをする際の繊細な感覚にもズレが出てくる気がして。自分は常に同じ感覚でいたいんですよ。でも滑っている時に折れることもあるので、常にスペアは持ち歩いています。

――スケートボードで使っていると、白杖への負担も大きそうですが……

大内:はい。実際たくさん折れますね。月に1回は間違いなく交換しています。業者の方にも「一体、どんな歩き方しているんですか?」って言われましたからね(笑)。それでも自分が使っているのは一番強度が強いモデルで、防弾チョッキに使用されているものと同じ特殊なセラミックでできていて、よくしなって折れにくいという特徴があります。そういうものでなければスケートボードはできません。一般の視覚障がいのある方だったら、交換頻度はだいたい年に1〜2本だそうなので、ハードに使っているとは思います。

配信元: パラサポWEB

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