
故・実相寺昭雄監督(左)と、「年の離れた友人」河崎実監督(2004年ごろ。河崎監督提供)
【画像】「えっ知らなかった」「かわいい」 これが、『ウルトラマン』実相寺監督が愛した怪獣です(6枚)
亡くなって20年後も、SNSを騒がせる実相寺作品
2025年12月の年末、SNSは『ウルトラセブン』(1967年~68年)のトピックスで異様な盛り上がりを見せました。『ウルトラセブン』の「封印回」として知られる第12話「遊星より愛をこめて」の高画質動画がネット上に流出したことから、大騒ぎとなったのです。
実相寺昭雄監督が演出した「遊星より愛をこめて」は、作品自体には問題なくたびたび放送されていたものの、『怪獣ウルトラ図鑑』などの出版物に掲載された「スペル星人」の記述が問題視され、円谷プロは1970年から封印してきたという事情がありました。
2006年に亡くなった実相寺監督ですが、『ウルトラセブン』には「遊星より愛をこめて」以外にも「幻のエピソード」が残されています。ウルトラ怪獣や星人たちが総出演するお祭り的企画でした。
2026年1月23日(金)より公開される『怪獣天国』は、そんな実相寺監督の幻の企画にオマージュを捧げた劇場映画となっています。実相寺監督と親交のあった「バカ映画の巨匠」河崎実監督の新作です。河崎監督に実相寺作品の魅力について語ってもらいました。
現場を鼓舞するために企画された「宇宙人15+怪獣35」
本格的SFドラマとして評価の高い『ウルトラセブン』ですが、当時の円谷プロはTBS系で『ウルトラセブン』を放送し、3クールめからフジテレビ系で『マイティジャック』(1968年)の放送も始めます。経営的に厳しく、制作現場は疲弊した状況にあったことが知られています。
「シリーズ後半に入って『ウルトラセブン』は低迷気味でした。TBSからの出向ディレクターだった実相寺監督は、円谷プロの制作状況を見かねて、お祭り的な企画を提案したんです。それが『宇宙人15+怪獣35』でした。セブンがひたすら宇宙人や怪獣と戦うという内容です。
円谷プロの怪獣倉庫に保管してあった怪獣たちを全部出す予定でしたが、アトラクションに貸し出した怪獣も多く、メンテナンスにお金もかかるため、ボツになったんです。その代わりに採用されたのが、特撮シーンの少ない『第四惑星の悪夢』と『円盤が来た』だったんです」(河崎実さん)
河崎監督の新作『怪獣天国』は、円谷プロの創設者である円谷英二監督へのオマージュも捧げられています。
「実相寺監督が円谷英二さんを取材したドキュメンタリー番組『現代の主役 ウルトラQのおやじ』(TBS系)があるんです。『ウルトラQ』で大人気だった円谷英二さんの自宅を、ラゴンとM1号が訪ね、インタビューするというおかしな内容です。
そのインタビューで円谷さんは『これからの怪獣は人間を怖がらせてばかりじゃだめ』『いつか怪獣天国ができてもいいかもしれんね』と語っていたんです。僕が撮った『怪獣天国』では、冒頭で『円谷英二監督 実相寺昭雄監督に捧ぐ』とクレジットしています。まぁ、僕から捧げられても困るかもしれませんが(笑)」
実相寺監督は生前「年齢の離れた友人」河崎監督に、ボツになった「宇宙人15+怪獣35」の企画を託していたそうです。

『怪獣天国』で主演をつとめる、蕨野友也さん(右) (C)2025「怪獣天国」フィルムパートナーズ
