先日私は、飛行機に乗って、ずっと行きたかったごみ処理場に向かった。
有名観光地でもなければ、話題のグルメがあるわけでもない。目的地は、ごみを燃やすための施設だ。
なぜ、わざわざ飛行機に乗ってまで? その理由は、ここが「エコリアム」と呼ばれる、ごみ処理場とは思えないほど美しい場所だと聞いていたからである。
・エコリアムとは一体なんだ?
向かったのは、広島市中区にある広島市環境局中工場。
正直なところ、この名前だけを聞いて「行ってみたい」と思う人は、そう多くないだろう。
ごみ処理場といえば、「臭そう」とか「粗大ゴミ捨てるときに行くくらい?」などといったイメージが先に立つと思う(けれど、工場見学マニアとしては、いわゆる普通のごみ処理工場も「行ってみたい」と思うが)。
今回私が訪れた「エコリアム」とは、広島市環境局中工場の一部で2004年に最新の技術を導入して建設された、広島市のごみ焼却施設である。設計を手がけたのは、世界的に著名な建築家・谷口吉生氏。
ニューヨーク近代美術館(MoMA)の増改築や豊田市美術館、GINZA SIXを手がけたことでも知られている。
「ごみ処理場は隠すもの」という常識を真っ向から覆し、機能を隠すのではなく、あえて見せるという思想が、このエコリアムという空間に色濃く表れているそうだ。
環境への配慮はもちろん、ごみ処理施設のイメージを一新する、美しいデザインが大きな特徴だ。
・とりあえずジャンプ!
私は休日に訪れたため、ガイドなしで自由見学をすることにした。日によっては、事前予約で無料で説明を受けることもできるそうだ。
先ほどから全体名称のように「エコリアム」と呼んでいるが、実はこれ、建物全体の名前ではない。正確には、この2階に設けられた通路部分こそが「エコリアム」と呼ばれる場所だ。
環境(Ecology)と吹き抜け空間(Atrium)を掛け合わせた造語で、工場の内部から海辺へと一直線につながる、ガラス張りの長い通路になっている。
この日は風がとにかく強く、通路を吹き抜ける風が容赦なく冷たい。とにかく寒い。……のだが、せっかくなので、とりあえず記念にジャンプしてみた。
完全に観光客のテンションである。
