テニス四大大会「全豪オープン」の開幕前に行われた異色のイベント「ワンポイントスラム」で、世界のトップ選手を破る大番狂わせを演じたのが、オーストラリアのアマチュア選手、ジョーダン・スミスだ。たった1ポイントで勝敗が決まる特別な大会で優勝し、賞金100万豪ドル(約1億500万円)を獲得。無名に近かった29歳のテニスコーチは、一夜にして人生を大きく変えたのである。
大会後、スミスは米メディア『CNN』の取材に対し、急変した日常について語っている。
「人々の顔に笑顔が浮かんでいる。それが最高なんだ。本当にクレイジーな状況だよ。通りすがりの人たちから写真やサインを求められるなんて、想像もしていなかった。だから今はそのすべてを楽しんでいる」
ワンポイントスラムは、プロとアマチュア、男女の区別なく対戦するのが特徴で、前述の通り、すべての試合が1ポイント勝負。極端なルールにより極限の緊張感が生まれる中で、スミスは世界ランキング2位のヤニク・シナー(イタリア)らを撃破し、決勝では女子世界ランク117位のジョアンナ・ガーランド(台湾)を下して頂点に立った。
スミスは、イタリア人スターとの対戦をこう振り返る。シナーがサービスをネットにかけて敗れた一戦だ。
「彼とはラリーをしていない。彼がサービスをミスしてくれたのは本当に運が良かったよ。もし打ち合いになっていたら、大変なことになっていたと思う。あれほどのチャンピオンと同じコートに立てたのは信じられない経験だった。とても気さくで、幸運を祈ってくれた」
巨額の賞金は、今後の人生設計にも現実的な変化をもたらす。シドニー郊外で家族と暮らすスミスは、住宅購入を視野に入れつつ、恋人ジェスと日本旅行を計画しているという。そんな将来の楽しみとして口にしたのが、ポケモンカードのコレクションだ。
「ポケモンカードが好きなんだ。何枚か買いたいなと思ってる。子どもの頃、兄弟とよくゲームをしたし、ポケモン集めは今すごく人気。ノスタルジーを感じながら、ものを集めるってクールだと思う」
スミスはかつてプロとして活動するも、1年間の獲得賞金はわずか6388ドルで、世界ランキングも1000位台にとどまった。それでもテニスを続けてきた末、たった1ポイントで人生を変えたスミスは、今、同じように苦しむ若手選手へ向けてメッセージを送っている。
「確かに厳しい世界だ。トップ100入りするのは至難の業。粘り強く続けるしかない。できるだけ前向きでいることが大事だ。次の日に何が起きるかは、本当にわからないからね」
構成●スマッシュ編集部
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