高市早苗首相が衆院選の公約に突然、限定的な消費税減税を掲げたことに端を発し、マーケットから揺さぶりをかけられている高市内閣。これに日本経済新聞が参戦した。
日経朝刊の名物コラム「大機小機」。1月23日に「逃げるは恥だが役に立つ」との見出しで、消費税減税はできずに曖昧に終わる、と論じたのだ。財界は消費税減税には否定的で、その流れを汲んだのかもしれないが、霞が関官僚の責任にしてトランプ大統領のように逃げなさいと「トンズラ」を勧めている。
同コラムを見てみると、以下のように展開されているのだ。
〈東半球では日本の高市早苗首相が得意の絶頂にある〉
〈韓国の李在明大統領とのドラムセッション、イタリアのメロニー首相の誕生会で好感度も上げた。「伝家の宝刀」の解散権を振り回すのも無理はない〉
〈好事魔多しとも盛者必衰ともいう。綻びの兆しが忍び寄ってはいないか〉
〈ずばり言おう。「敵はマーケットにあり」である〉
消費税減税に対するマーケットの反応は悪い。40年もの国債利回りは初めて4%の大台に乗った。海外機関投資家は日本国債の買い入れに逃げ腰だ。ドイツ経済紙は「高市首相の減税方針で、日本の債券市場が狂乱に陥っている」と論評。財源のない減税策を打ち出してイギリス国債などの下落を招き、短命政権に終わった女性首相、イギリスのリズ・トラス元首相を高市首相になぞらえた。日本国債の変動がアメリカ国債券市場に影響を与えているとして、アメリカのベッセント財務長官も1月20日、高市首相の経済政策に疑問を呈している。
片山さつき財務相は「2年限定の減税。赤字国債に頼らない」と発信。これを受けて高市首相も同様の発言をしているが、マーケットは本当にそれで収まるのか。高市びいきの岩盤保守は、このマーケットの裏に「中国がいる」と陰謀論をがなり立てるのだろうが…。
日経新聞のコラムでは、1月19日の首相会見で消費税の財源について超党派の国民会議を作り「実現に向けた検討を加速する」と述べたことをつつく。「検討を加速」は霞が関官僚用語では「何もしない」ということだからだ。
高市首相はプライドだけは高いが〈減税に触れる際はこの逃げ口上を必ず加え…周囲が火消しに努めればよい。逃げるは恥だが役に立つ〉とコラムを締める。
トランプ大統領がグリーンランド取得問題で追加関税を急に取り下げるなど、かなり政策がブレることを「TACO=Trump Always Chickens Out(トランプはいつもおじけづいて逃げる)」というが、高市流TACOを日経新聞は推奨するのだ。ただ、日経コラムのいうようにマーケットに負けて選挙後にトンズラするならば、公約詐欺となる。
(健田ミナミ)

