
■“2025年の顔”はどの映画に?主な候補作を一気にチェック
本年度から「キャスティング賞」が新設され、全部で24部門となったアカデミー賞。そのなかで最多ノミネートを獲得したのは、「ブラックパンサー」シリーズのライアン・クーグラー監督とマイケル・B・ジョーダンがタッグを組んだ『罪人たち』。

春シーズンに北米で公開され、社会現象級のヒットを記録すると共に、ホラージャンルとしては異例の高評価を集めた同作は、選考対象となりうる17部門のうち主演女優賞を除く16部門で候補入りを果たす大旋風。なお、16部門ノミネートは『イヴの総て』(50)、『タイタニック』(97)、『ラ・ラ・ランド』(16)が記録した14部門を抜き、アカデミー賞史上最多のノミネート数となる。
また、レオナルド・ディカプリオとポール・トーマス・アンダーソンがタッグを組んだ『ワン・バトル・アフター・アナザー』が12部門13ノミネートで続き、ティモシー・シャラメ主演のA24作品『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』(3月13日公開)、ギレルモ・デル・トロ監督がゴシックホラーの古典を再映画化した『フランケンシュタイン』(Netflixにて配信中)、第78回カンヌ国際映画祭でグランプリを獲得した『センチメンタル・バリュー』(2月20日公開)が9部門で続いた。

他にも、昨年の第38回東京国際映画祭のクロージングを務めたクロエ・ジャオ監督の『ハムネット』(4月10日公開)は作品賞や監督賞、主演女優賞など8部門で候補入り。ヨルゴス・ランティモス監督とエマ・ストーンが長編映画では4度目のタッグを組んだ『ブゴニア』(2月13日公開)は、作品賞や主演女優賞など4部門にノミネートされている。
『国宝』の候補入りが期待されていた国際長編映画賞は、例年にも増して強力な作品が顔を揃える結果に。ノルウェー代表の『センチメンタル・バリュー』と、カンヌ国際映画祭で監督賞と男優賞に輝いたブラジル代表の『シークレット・エージェント』(2026年公開)の2作は、どちらも作品賞など主要部門に複数ノミネートされるなど存在感を発揮。

また、カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作でフランス代表の『シンプル・アクシデント/偶然』(5月8日公開)は脚本賞でも候補入りを果たし、カンヌ国際映画祭の審査員賞受賞作であるスペイン代表の『Sirat(英題)』は録音賞にもノミネート。5作品中唯一、他部門にノミネートされていないチュニジア代表の『The Voice of Hind Rajab(英題)』は、第82回ヴェネチア国際映画祭で審査員大賞に輝いた作品だ。
同じく複数の日本映画がエントリーしていた長編アニメーション賞は、現在世界中でメガヒットを記録している『ズートピア2』(公開中)、サウンドトラックも話題を集めているNetflixアニメ『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』(Netflixにて配信中)のほか、ディズニー&ピクサーの『星つなぎのエリオ』、神戸生まれの作家アメリー・ノートンの自伝を原作にした『アメリと雨の物語』(3月20日公開)、アヌシー国際アニメーション映画祭長編映画部門グランプリに輝いた『ARCO/アルコ』(4月24日公開)がノミネートされた。

なお、スタジオ別のノミネート数では、『罪人たち』と『ワン・バトル・アフター・アナザー』、そして助演女優賞にエイミー・マディガンがノミネートされた『WEAPONS/ウェポンズ』を送りだしたワーナー・ブラザースが30(同社が配給を務めたApple製作作品の映画『F1(R)/エフワン』を含めると34)で最多。以下、NEONが18、Netflixが16、フォーカス・フィーチャーズが13、A24が11と続いている。
第98回アカデミー賞授賞式は、現地時間3月15日(日)/日本時間3月16日(月)に執り行われる。
■<第98回アカデミー賞ノミネート一覧>
●作品賞
『ブゴニア』
映画『F1(R)/エフワン』
『フランケンシュタイン』
『ハムネット』
『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』
『ワン・バトル・アフター・アナザー』
『シークレット・エージェント』
『センチメンタル・バリュー』
『罪人たち』
『トレイン・ドリームズ』
●監督賞
クロエ・ジャオ『ハムネット』
ジョシュ・サフディ『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』
ポール・トーマス・アンダーソン『ワン・バトル・アフター・アナザー』
ヨアキム・トリアー『センチメンタル・バリュー』
ライアン・クーグラー『罪人たち』
●主演男優賞
ティモシー・シャラメ『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』
レオナルド・ディカプリオ『ワン・バトル・アフター・アナザー』
イーサン・ホーク『Blue Moon(原題)』
マイケル・B・ジョーダン『罪人たち』
ヴァグネル・モウラ『シークレット・エージェント』
●主演女優賞
ジェシー・バックリー『ハムネット』
ローズ・バーン『If I Had Legs I’d Kick You(原題)』
ケイト・ハドソン『Song Sung Blue(原題)』
レナーテ・レインスヴェ『センチメンタル・バリュー』
エマ・ストーン『ブゴニア』
●助演男優賞
ベニチオ・デル・トロ『ワン・バトル・アフター・アナザー』
ジェイコブ・エロルディ『フランケンシュタイン』
デルロイ・リンドー『罪人たち』
ショーン・ペン『ワン・バトル・アフター・アナザー』
ステラン・スカルスガルド『センチメンタル・バリュー』
●助演女優賞
エル・ファニング『センチメンタル・バリュー』
インガ・イブスドッテル・リッレオース『センチメンタル・バリュー』
エイミー・マディガン『WEAPONS/ウェポンズ』
ウンミ・モサク『罪人たち』
テヤナ・テイラー『ワン・バトル・アフター・アナザー』
●脚本賞
ロバート・カプロウ『Blue Moon(原題)』
ジャファル・パナヒ『シンプル・アクシデント/偶然』
ロナルド・ブロンスタイン、ジョシュ・サフディ『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』
エスキル・フォクト、ヨアキム・トリアー『センチメンタル・バリュー』
ライアン・クーグラー『罪人たち』
●脚色賞
ウィル・トレイシー『ブゴニア』
ギレルモ・デル・トロ『フランケンシュタイン』
クロエ・ジャオ、マギー・オファーレル『ハムネット』
ポール・トーマス・アンダーソン『ワン・バトル・アフター・アナザー』
クリント・ベントリー、グレッグ・クウェダー『トレイン・ドリームズ』
●撮影賞
ダン・ローストセン『フランケンシュタイン』
ダリウス・コンジ『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』
マイケル・バウマン『ワン・バトル・アフター・アナザー』
オータム・デュラルド・アーカポー『罪人たち』
アドルフォ・ヴェローゾ『トレイン・ドリームズ』
●編集賞
スティーブン・ミリオン 映画『F1(R)/エフワン』
ロナルド・ブロンスタイン、ジョシュ・サフディ『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』
アンディ・ユルゲンセン『ワン・バトル・アフター・アナザー』
オリヴィエ・ブッゲ・クエット『センチメンタル・バリュー』
マイケル・P・ショーヴァー『罪人たち』
●美術賞
タマラ・デヴェレル、シェーン・ヴィオー『フランケンシュタイン』
フィオナ・クロンビー、アリス・フェルトン『ハムネット』
ジャック・フィスク、アダム・ウィリス『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』
フロレンシア・マーティン、アントニー・カルリーノ『ワン・バトル・アフター・アナザー』
ハンナ・ビークラー、モニーク・シャンパーニュ『罪人たち』
●衣装デザイン賞
デボラ・L・スコット『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』
ケイト・ホーリー『フランケンシュタイン』
マルゴシア・トゥルザンスカ『ハムネット』
ミヤコ・ベリッツィ『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』
ルース・E・カーター『罪人たち』
●メイクアップ&ヘアスタイリング賞
マイク・ヒル、ジョーダン・サミュエル、クリオナ・フューレイ『フランケンシュタイン』
豊川京子、日比野直美、西松忠『国宝』
ケン・ディアス、マイク・フォテーヌ、シュニカ・テリー『罪人たち』
カズ・ヒロ、グレン・グリフィン、ビョルン・レーバイン『スマッシング・マシーン』
トーマス・フォルドバーグ、アン・キャスリーン・サウバーグ『アグリーシスター 可愛いあの娘は醜いわたし』
●キャスティング賞
ニーナ・ゴールド『ハムネット』
ジェニファー・ヴェンディティ『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』
カッサンドラ・クルクンディス『ワン・バトル・アフター・アナザー』
ガブリエル・ドミンゲス『シークレット・エージェント』
フランシーヌ・メイズラー『罪人たち』
●作曲賞
ジャースキン・フェンドリックス『ブゴニア』
アレクサンドル・デスプラ『フランケンシュタイン』
マックス・リヒター『ハムネット』
ジョニー・グリーンウッド『ワン・バトル・アフター・アナザー』
ルドウィグ・ゴランソン『罪人たち』
●歌曲賞
「Dear Me」『Diane Warren: Relentless(原題)』
「Golden」『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』
「I Lied To You」『罪人たち』
「Sweet Dreams of Joy」『Viva Verdi!(原題)』
「Train Dreams」『トレイン・ドリームズ』
●視覚効果賞
『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』
映画『F1(R)/エフワン』
『ジュラシック・ワールド/復活の大地』
『ロスト・バス』
『罪人たち』
●音響賞
映画『F1(R)/エフワン』
『フランケンシュタイン』
『ワン・バトル・アフター・アナザー』
『罪人たち』
『Sirat(英題)』
●国際長編映画賞
『シークレット・エージェント』(ブラジル)
『シンプル・アクシデント/偶然』(フランス)
『センチメンタル・バリュー』(ノルウェー)
『Sirat(英題)』(スペイン)
『The Voice of Hind Rajab(英題)』(チュニジア)
●長編アニメーション賞
『ARCO/アルコ』
『星つなぎのエリオ』
『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』
『アメリと雨の物語』
『ズートピア2』
●短編アニメーション賞
『バタフライ』
『Forevergreen』
『The Girl Who Cried Pearls』
『リタイア・プラン』
『3人姉妹』
●長編ドキュメンタリー賞
『The Alabama Solution』
『あかるい光の中で』
『Cutting Through Rocks』
『名もなき反逆者 ロシア 愛国教育の現場で』
『パーフェクト・ネイバー:正当防衛法はどこへ向かうのか』
●短編ドキュメンタリー賞
『あなたが帰ってこない部屋』
『Armed Only with a Camera: The Life and Death of Brent Renaud』
『Children No More:“Were and Are Gone”』
『The Devil Is Busy』
『Perfectly a Strangeness』
●短編実写映画賞
『Butcher’s Stain』
『A Friend of Dorothy』
『ジェーン・オースティンの生理ドラマ』
『The Singers』
『Two People Exchanging Saliva』
文/久保田 和馬
