
「彼には危険な才能がある」神戸指揮官も期待。乾貴士は“違い”を生み出せるか。同僚が実感した「すごく嫌な動き」
2024年はJ1連覇&天皇杯優勝という輝かしい成績を残しながら、25年はまさかの無冠に終わったヴィッセル神戸。22年6月から続いた吉田孝行監督(現・清水エスパルス監督)体制も昨季末でついに終焉を迎えた。
そして2026年。彼らはサンフレッチェ広島を4シーズン率いた名将ミヒャエル・スキッベ監督を招聘。新たなチーム作りに着手しているところだ。
1月11日からの沖縄キャンプで、指揮官は前体制のベースだった4-3-3システムを継続している。
「サンフレッチェの時はピッチ上で選手たちの能力を最大限に発揮してもらうために3バックを採用しました。神戸の場合は4バックに慣れ親しんでいますし、今のところはそれを踏襲してチームを作っている最中です」と、スキッベ監督はこれまでの積み上げを活かすのが完成への早道だと考えているようだ。
「吉田さんの時とそんなに大きな変化はないですし、スキッベ監督が今までの戦いをリスペクトしてくれているのは感じますね。
ただ、アグレッシブさや激しさをより求めている印象はあります。ボールを高い位置で取って、すぐ攻撃に転じるとか、縦に速く攻める色合いを出したがっているという感覚もあるので、そこはうまくすり合わせていきたいですね」と、酒井高徳は新指揮官の狙いを汲み取りながら、2月6日のJ1百年構想リーグ開幕・京都サンガF.C.戦に向かっているという。
23日の時点では大迫勇也、武藤嘉紀、扇原貴宏、権田修一といった30代の主力級が問題なくプレーできる状態だ。1年前の同時期は複数の中心選手が負傷離脱し、吉田監督が「選手がいない」と嘆いていたが、今年は順調に調整が進んでいる模様。こうしたなか、チームの新たな起爆剤になりそうなのが、新加入の37歳・乾貴士である。
昨季は清水でリーグ戦の全38試合に出場し、3ゴールを挙げた乾。年齢を感じさせない圧巻のパフォーマンスで見る者を魅了していたが、昨年末に契約満了の憂き目に遭った。その後、去就が注目されたなかで神戸移籍が決定。2018年ロシアW杯など日本代表でともに戦った面々と再会し、懐かしさを覚えつつ、感覚を蘇らせているという。
「楽しいですよ。すごく楽しいし、早く試合をやりたいですね」と本人も満面の笑みを浮かべる。底抜けに明るいベテランの加入によって、神戸の雰囲気がガラリと変化したのも確か。それが最初の“乾効果”だと言っていい。
そのうえで、攻撃面で圧倒的な違いを作り出せるのが、この男の最大のストロング。「神戸には僕みたいな選手があんまりいないんで、そこで違いを作れればいいかなと思います」と、乾自身も目を輝かせる。酒井もその発言に賛同する。
「創造性やアイデアを出せるのが乾君の良さ。人を活かしたり、チームを落ち着かせたり、1人でうまく数的優位を打開したりといったプレーもすごく上手ですよね。
神戸は今までフィジカル面や縦の速さという強みがあったんですけど、何かしらの変化を加える選手は多くなかった。乾君は相手の選択肢から外れる選択ができるんで、相手も掴みづらいし、マークが分散すると思うんです。
実際、昨年対戦した時も『すごく嫌な動きをするなあ』と感じた。そういうところをチームに加えてくれるので有難いですね」と、背番号24は久しぶりの共闘を心待ちにしている様子だ。
乾は、昨季に宮代大聖(ラス・パルマス)が陣取っていたインサイドハーフが主戦場になる見通し。もともとFWだった宮代はセカンドトップ的な仕事が中心だったが、乾は引いてボールを受けながら組み立てに関与したり、中盤のサポートに入ったりと、どちらかというと司令塔的なプレーが多くなるはず。その分、もう1枚のインサイドハーフがゴール前に出ていくケースが増えそうだ。
相棒候補の1人である郷家友太も「乾君は本当に独特なリズムを持っている選手。その感覚を共有できるようになれば、自分が前に出てゴールに絡む回数も多くなると思います。今年から一緒にやってますけど、本当にうまいですし、ボールが吸い付くようなタッチをするんで、僕らも安心して預けられる。周りの人間にとっては大きいですね」とコメントしていた。
郷家や佐々木大樹らを活かしつつ、自らも輝くという良好な関係性を早く築ければ、乾は神戸でも異彩を放つに違いない。
「彼には危険な才能があるので、それがうまくピッチ上で出るようになると良いと思います」と語ったスキッベ監督の期待に、百戦錬磨のアタッカーは応えられるのか。今から開幕が待ち遠しい限りだ。
取材・文●元川悦子(フリーライター)
【画像】日向坂や乃木坂の人気メンバー、ゆうちゃみ、加護亜依ら豪華タレント陣が来場、Jリーグのスタジアムに華を添えるゲストを特集
【画像】長澤まさみ、広瀬すず、今田美桜らを抑えての1位は? サカダイ選手名鑑で集計!「Jリーガーが好きな女性タレントランキング」TOP20を一挙紹介
【記事】「大谷翔平って何であんなに凄いの?」中村俊輔の素朴な疑問。指導者としてスーパースター育成にも思考を巡らせる
