バリバリ稼ぐ強引な営業マンを象徴する“プルデンシャル・ゴリラ(プルゴリ)”という言葉も生んだプルデンシャル生命保険。そのプルゴリ100人超が500人の顧客から30億円超をだまし取っていたという想像を超える規模の不正が明るみになった。しかし、記者会見をした経営陣は肝心な情報について「開示しない」という回答を連発。事態の軽視と隠蔽体質に批判が集まっている。現役社員にも話をきいた。
国会解散と同じ日に…日銀記者クラブ優先の記者会見
架空の金融商品への投資を持ち掛けカネをだまし取る。「資産運用専門家の自分にカネを委託すればリスクなしで高配当を得られる」と騙って返金しない…。
今回明らかになったこれら不正は古いものでは1991年から始まっていたが、社員や元社員が客への詐欺容疑で続けて逮捕された2024年になって、ようやく会社は調査を始めた。
その結果、元社員ら3人が計8人の顧客から架空の投資話を持ち掛けるなどの手口で総額約5900万円をだまし取っていたことが判明。さらにこの元社員2人を含む106人が計498人の顧客に投資を持ちかけて、総額30億8000万円のカネを受け取ったり借金をしたりしていたことが確認された。このうち約22億9000万円は返済されていない。
「去年4月に金融庁がプルデンシャル側に保険業法に基づく報告徴求命令を出しており、それを受けて公表したようです。しかも当初、1月16日にこの結果と社長が交代するとのリリースを出しただけ。説明を求める声が高まると国会解散と同じ23日に会見を開きました」(経済部記者)
その会見でも会社は注文をつけた。記者クラブに属さない集英社オンラインが参加を申し込むと、会社は「日銀記者クラブと弊社がお付き合いしている経済紙を優先的に質問を受けます」と通告してきた。
また、会見開始直前には異議を唱えたとみられるメディアの記者に対し社員が「(質問制限に)同意いただけますか!」と大声で連呼し同意を迫っていた。
これには当の日銀記者クラブ所属の記者も会見で「これだけの不祥事を起こして(クラブ外の記者に)高圧的に『質問するなら出ていけ』くらいのことを言っていた。反省する形を示しているのか」と叱責。
それでも司会者は終了間際までクラブ外の記者に質問のマイクを回さず、抗議を受けようやく2問だけ許す異様な会見となった。
「犯罪組織なのかという声まで出ている」「皆さんは保険会社なのか?」
会見では1月末で引責辞任すると発表した間原寛社長が、不正に走った社員がこれほど多くいた理由について「営業社員の自主性と独立性を重視し、成果や業績をダイレクトに報酬や社内表彰で評価してきたが、営業社員への管理が不足し、お客様と密な関係を築く中で行われた不適切な事象を検知することが十分できなかった」と述べ、会社の営業システムに構造的な問題があったと説明。
プルデンシャルの報酬体系が「業績に過度に連動する制度」で、これが「金銭的利益を重視する人材を引きつけたり入社後にそのような考えを持つに至ったりした」とも述べ、報酬制度を変更するなどの再発防止に努めるとも強調した。
だが、そうした構造的な問題がなぜ今までわからなかったのか。
「犯罪組織なのかという声まで出ている。皆さんは保険会社なのか?」
そんな質問まで飛び出した会見で、間原氏は「もちろん生命保険会社です」と反論したが、30年にわたって不正の温床になった仕組みが続いたことには「(過去に不祥事が起きても)個別の事案として受け止め個別の対応をしてきた。構造的な問題であると改めて考えなきゃいけないということに至った」と繰り返すだけだった。
社内の実態はどうなのか。別の金融機関からプルデンシャルに転職してきた現役営業マンA氏が証言する。
「プルデンシャルの営業マンには2種類いて、元証券マンのように金融知識が豊富なタイプと、知識はないけど圧倒的な人間力と勢いで売る、いわゆる”プルゴリ”タイプです。
プルゴリタイプのほうは金融知識に乏しく『これマジで儲かるらしいよ!』という詐欺話を自分も信じ込んで善意で大切な顧客や友人に勧めてしまっているケースもあると思います」
A氏によると、同社は入社から2年間は月に約24万円最低保証給与があるが、3年目からはそれもなくなり歩合制一本になるという。
「営業マンは契約を取った時にはそれに見合う報酬は入りますが、お客様が契約を継続したときに営業マンに払われる継続手数料ってそこまで多くないんです。なので新規契約を取り続けないと厳しいですね。
やり手のベテランは法人契約がメインで、今回のような小銭稼ぎには手を出しません。問題になったのはおそらく若手から中堅の、個人相手に必死で回していた層じゃないかな。あとは本当にめっちゃ稼いでる金の亡者もいるでしょう。
自腹でタワマンのゲストルームを借りてパーティーを開き、顧客を獲得する手法もまだ残っていると聞きます。そこで『副業』をやって利益をつかんだりする人もいるそうです」(A氏)

