1972年に東京・日本橋で産声を上げた「ロッテリア」は「日本人好みの味」を追求し、1977年に誕生した「エビバーガー」が一世を風靡した。しかし、ハンバーガー界の絶対王者である「マクドナルド」、さらに高品質路線の「モスバーガー」との狭間で長年「3位」の座に甘んじ、店舗数は全盛期の524店から激減。
そんな状況下の2023年、「すき家」や「はま寿司」を展開する「外食の巨人」ゼンショーHDがロッテリアを買収。当初は「ロッテリアのブランドは当面維持する」と表明していた。
「とはいえ、早さと安さで圧倒するマクドナルドに対抗するためには当然、大きな差別化が求められます。ゼンショーは自社で牛を育て、物流網まで持つため、その傘下に入ることで大きな価格競争力を手に入れることができるはず。あとは独自性で勝負すればいい。そこで、実利とDX(デジタル・トランスフォーメーション=デジタル技術を駆使した業務プロセス改善)に特化すべく、50年の歴史を持つ『ロッテリア』というブランドプライドを捨て、2026年春までに全店転換の完了を目指すとされている。それが『滞在型カフェ』をコンセプトにした『ゼッテリア』だというわけなんです」(経済ジャーナリスト)
ゼッテリアという名称は「ゼンショーのロッテリアだから」という意味ではなく、看板商品「絶品バーガー」と「カフェテリア」を組み合わせた造語。大型のセルフレジや、テーブルから注文できるタブレット端末を使用するなど、徹底したDX化により接客を効率化する。
その一方で、店内は暖色系の照明にパーソナルブース、充電コンセントを完備し、「質と時間の提供」をコンセプトに、ファストフードの概念である「食事の場」から「過ごす場」へとアップグレードした空間への転換を目指すとされている。
「マックほど派手じゃないけど、ロッテリアには落ち着きがあった」
そう語る古参ファンは多いが、ゼッテリアは旧ロッテリアの色を完全に払拭している。全く新しい「ゼンショーのバーガー店」として再定義したいという強い意志の表れであり、
「これをひとつの時代の「終焉と捉える、昔ながらのロッテリアファンは少なくないでしょうね」(前出・経済ジャーナリスト)
自社で食材を調達し、物流まで完結させるゼンショーが誇る「MMD(マス・マーチャンダイジング・システム)」で、他社にはマネできないコスパと品質で最高のバーガーを提供したい、と意気込むゼッテリア。「外食の巨人」が放った刺客が、絶対王者の牙城を切り崩すことができるかどうか。「バーガー戦争」激化は必至だ。
(灯倫太郎)

