ビール、焼酎、日本酒、ウイスキー…世の中にはさまざまなお酒があるが、その中に実は抗糖化作用を持つお酒がある。健康に配慮しながら飲むならどんなお酒がいいか、「糖化ストレス研究」のパイオニアが細かく分析する。
八木雅之氏の書籍『老けない食べ方の新常識』(三笠書房)より一部を抜粋・再構成し、お酒の老けない飲み方を解説する。
老化を防ぐお酒の飲み方
お酒が好きな人に朗報です。お酒の中にも抗糖化作用を持つものがあるのです。
一つめは、日本酒です。
糖質制限をすすめる専門家の中には、日本酒は糖質が多いため「飲んではいけない」と指摘する方もいます。しかし、試験管レベルでの実験では、日本酒にAGEsの生成を抑える効果があることが確認されました。
この調査は、私たちの研究室の学生が行なったもので、彼は大の日本酒好き。京都の地酒を十数種類も買い集め、AGEs抑制効果を比較したのです。
その結果、日本酒によってAGEsの生成量が減ることが明らかになりました。
ただし、日本酒のどの成分がその効果をもたらしているのかは、特定できていません。おそらく、麹菌が米の成分を分解する過程で、抗糖化作用を持つ新たな物質が生まれているのだろうと考えています。
二つめは、ワインです。
ワインはブドウを発酵させてつくるお酒であり、豊富なポリフェノールを含むことが知られています。ポリフェノールは抗糖化作用に優れた成分です。
三つめは、ウイスキーです。
ウイスキーは、大麦などの穀物を発酵・蒸留し、オーク樽で数年以上熟成させてつくります。このオーク樽の影響で、香りと色あいが深まり、その中にポリフェノールが多く含まれるようになります。つまり、ワインと同様、ウイスキーもポリフェノールが豊富なお酒なのです。
「何を飲むか」と「どれだけ飲むか」が大切
一方、「とりあえず1杯目」として選ばれることが多いビールはどうでしょうか。
じつは以前、ビールの抗糖化作用を調査しようと試みたことがあります。しかし、その分析は断念せざるを得ませんでした。
理由は、ビールの原料や製法が多岐にわたり、成分構成が非常に複雑だったからです。たとえば、麦芽やホップの種類、発酵方法、濾過や熟成の違いによって、含まれるポリフェノールの種類も量も大きく変わってしまいます。
仮に抗糖化作用が確認できたとしても、「どの成分がどのように作用したのか」を特定するのが極めて難しい。そう判断し、この研究はいったん見送ることにしました。
さらに、居酒屋で人気の「レモンサワー」についても触れておきましょう。
多くの居酒屋のレモンサワーや缶チューハイには、果糖ブドウ糖液糖(異性化糖)などの糖質が多く含まれています。この場合は、アルデヒドスパークの危険性が高まります。この点には注意が必要です。
レモンサワーなどを飲む際には、なるべく無糖タイプを選ぶか、自分でつくるとよいでしょう。
なお、いくら抗糖化作用があるお酒を選んでも、飲み過ぎれば逆効果。アルコールが分解される際に発生するアセトアルデヒドが糖化を進めてしまうからです。
お酒を楽しみながら若さを保つためには、「何を、どう飲むか」も大切ですが、「どれだけ飲むか」も忘れてはならない要素です。

