「嫁いだ身なら当たり前でしょ」という言葉
結婚当初から、義母は帰省の予定について細かく確認してくる人でした。お盆は何日から何日まで来られるのか、お正月は元旦に来るのか。その熱心さは、息子である夫を大切に思う気持ちの表れなのだろうと、私は好意的に受け止めていたのです。
けれど、私が「今年のお正月は実家にも顔を出したい」と伝えたとき、義母の表情が曇りました。「あなたは嫁いだ身なんだから、まずはこちらを優先するのが当たり前でしょ」と、はっきりとした口調で言われたのです。
その言葉に、私は何も言い返せませんでした。確かに夫の家に嫁いだという意識はあります。けれど、私にとって実家の両親も大切な存在であることに変わりはないのに。心の中で反論しながらも、波風を立てたくない気持ちが勝ってしまい、私はただ黙ってうなずくことしかできませんでした。
言えなかった本音と募る寂しさ
それからというもの、帰省のたびに同じやり取りが繰り返されるようになりました。義母は悪気があるわけではないのでしょう。ただ、昔ながらの価値観を大切にしているだけなのだと思います。けれど、私の実家の両親は何も言わずに待っていてくれていて、その優しさが逆に胸を締め付けました。
「今年も会えなくてごめんね」と電話で母に伝えるたび、母は「気にしないで、あなたが元気ならそれでいいのよ」と笑ってくれます。その声を聞くと、涙が出そうになるのをこらえるのに必死でした。
夫にも本音を伝えられずにいました。義母の悪口を言っているように聞こえたらどうしよう、夫を困らせてしまうのではないか。そんな不安が先に立ち、私は一人で抱え込む日々を過ごしていたのです。
