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史上最高額はダイヤ入りの1億5000万円、実は百貨店で買える大相撲の「化粧まわし」…関取の現役引退後の行方は?

史上最高額はダイヤ入りの1億5000万円、実は百貨店で買える大相撲の「化粧まわし」…関取の現役引退後の行方は?

2025年には、34年ぶりとなる大相撲ロンドン公演が行なわれるなど、大相撲の人気は海外にもどんどん広がっている。しかし、その歴史と世界観は外国人から見ると謎だらけだという。

 

そんな知られざる角界の裏話を『白鵬はなぜ嫌われなければならなかったのか だれも知らない角界不思議話』より一部抜粋、再構成してお届けする。

化粧まわし、実は、百貨店で取り扱っている

取材で相撲博物館の資料を閲覧し、事務所を出たときのことだ。観光客らしい年配の外国人夫婦から質問を受けた。

「あのエプロンは、どこで売っているんだ。いくつか買いたい」

エプロン? 一瞬、戸惑ったが、すぐにピーンと来た。英語のパンフレットでは、化粧まわしのことを「デコレイテッド・エプロン」(装飾エプロン)と表記することがあるのだ。

「土俵入り」の英訳はいくつかあるのだが、外国人向けの書籍で、こんな翻訳を見たことがある。

「エプロン・セレモニー」

この夫婦は、土産に化粧まわしを買いたいというのだ。そこで、尋ねてみた。

「本当に買うなら業者を紹介しますが、いくらするのかご存じですか」

私たちはカネを持ってるぜ、といわんばかりに鼻で笑った夫婦。だが、最低100万円以上、しかも2ヵ月待ちは当たり前の特注品であることを伝えると、ドラマで見るような大仰な驚きのしぐさを見せ、「HAHAHA!」と笑い、私の肩をたたいて去っていった。いくらで買えると思っていたのだろうか。

英語で「装飾エプロン」と訳されている化粧まわしだが、前掛けのような形をしているわけではない。化粧まわしは幅約80センチ、長さ6~7メートルの巨大な1本の帯状をしており、その一方の端に、様々な図案が描かれている。

この図案が描かれた部分を「前垂れ」という。前垂れの下には馬簾という金糸などの房が下がるエプロンのような部分だ。土俵入りでは、この前垂れから後ろの部分を6つに折ってふんどしとして締め、土俵入りを務めている。

この化粧まわし、実は、百貨店で取り扱っている。

十両土俵入りや幕内土俵入りで関取が締める化粧まわしとまったく同じものを百貨店で買うことができる。

化粧まわしの史上最高額は40年以上前の価格で1億5000万円

買えるといっても、まず気になるのは、値段だろう。

髙島屋の呉服部門のバイヤーだった田村均さんは半世紀にわたって髙島屋が調製する化粧まわしを一手に扱ってきた。同社を退職後も、大相撲関係の仕事を続けている。

化粧まわしの価格はピンからキリだ。前垂れに描かれた意匠や素材、装飾、馬簾の質によって、値段は10倍以上違ってくるのだが、最も安い品でいくらになるのか。

力士の出身大学や高校から贈られた、校章をあしらった化粧まわしを見たことがあるだろう。あれが最も安価だそうだ。

というのも、学校によっては何人もの関取にまったく同じ化粧まわしを贈っているので、新たにデザインを起こす必要がない。また、すでにデザインのデータがあれば、コンピューター制御のミシン刺繍ならボタンを押せば刺繍部分は出来上がる。

ただ、最も安価だとはいえ、観光土産に気軽に買える代物ではない。「安いといっても100パーセントシルクですから、それなりにかかりますよ。1本、120万~130万円です」と田村さん。

21世紀に入って最も高価な化粧まわしは、西新井大師(東京都足立区)が2013年夏に白鵬に贈った品だとされている。値段は、「1本、1000万です」。

横綱の化粧まわしは3本セットで、中央の白鵬のまわしには旭日が、太刀持ちと露払いには紅白の牡丹があしらわれている。絵は文化勲章受章者の松尾敏男画伯が筆を執った。

「つづれ織り」という西陣織の最高級品で、手刺繍。すべてに最高を求めた逸品は3本セットで計3000万円。これは制作にかかった費用のみの金額で、松尾画伯の画料は含まれていない。

ただ、これは21世紀の話。髙島屋のバイヤーだった田村さんが扱った化粧まわしで過去最も高価だったのは、1本7000万円。これは、ある大関の化粧まわしで、クロヒョウの両目に大粒のダイヤが埋め込まれていたそうだ。近年では最高値と思われる白鵬の逸品と同額の1本1000万円の本体に、ダイヤが1粒3000万円。両目を合わせて総額7000万円だったという。

では史上最高額は―。なんと、40年以上前の価格で1億5000万円。元大関若嶋津(当時のしこ名は若島津。のちの二所ノ関親方)の化粧まわしで、ワシが10カラットのダイヤを文字通り「わしづかみ」にしている。

1982年11月の九州場所で、大阪後援会から贈られた。鹿児島・種子島出身の若島津は、「ご当地」であるこの九州場所に大関昇進がかかっていた。12勝をあげて、周囲の期待通り大関をつかみ、時代を彩る名大関となった。

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