久保建英(レアル・ソシエダ)、鎌田大地(クリスタル・パレス)、南野拓実(モナコ)といった日本代表のアタッカー陣に怪我が相次ぐなか、左足首の故障による2か月半の戦線離脱を経て、一人の男がピッチに戻ってきた。ブライトンの三笘薫だ。後半戦、そしてその先に控えるワールドカップに向けてエンジンをかけ始めた彼に対し、『The Athletic』のアンディ・ネイラー記者は、「シーズン後半戦にミトマがピッチに立ち続ける。それが欧州の舞台を目指すブライトンの命運を握る、極めて重要な要素となるのは間違いない」と、その存在の大きさを強調している。
その可能性を改めて示したのが、プレミアリーグ第21節のマンチェスター・シティ戦(1-1)だった。敵地での貴重な勝点獲得に寄与する同点ゴールを決め、地元紙『Sussex World』はその場面を次のように描写した。
「41分にアーリング・ハーランドのPKで先制を許し、ブライトンは追いかける展開を強いられていた。迎えた60分、ミトマはヤシン・アヤリからのパスを受けると、ペナルティエリア手前の位置で自らシュートコースをこじ開けた。ボールが彼の右足を離れた瞬間、それがネットを揺らすのは誰の目にも明らかだった。巨躯を誇るドンナルンマがその長いリーチを最大限に伸ばして横に跳んだものの、放たれた一撃は無情にもその指先を越えていった」
このゴールシーンで、三笘がベルナルド・シウバと1対1になれる状況を演出したのが、左サイドバックのマキシム・デ・カイペルだ。フリーランで相手DFマテウス・ヌネスを引きつけたベルギー代表DFは、三笘の復帰を心から歓迎している。「彼がチームに戻ってきてくれたのは、本当に喜ばしいよ。あの場面では僕がオーバーラップをして、あとは彼に選択を委ねたんだ。彼は最高の判断を下し、見事なフィニッシュで応えてくれた」
一方で、ネイラー記者は本来のコンディションを取り戻すにはまだ時間が必要だとも指摘している。前半、自陣へ戻る際に右サイドを駆け上がるマテウス・ヌネスの推進力についていけなかったシーンを挙げ、「スピードスターの彼が置き去りにされる光景は、コンディションが万全ではないことを物語っていた」と、慎重な見方を示した。
ファビアン・ヒュルツェラー監督も、試合後の会見で同様の認識を語っている。「彼が試合の流れを一変させる力を持っているのは誰もが知っているが、まだ100%の状態ではない。だからこそ我々がサポートして、本来の調子を呼び戻し、もっと頻繁にボールに絡むような環境を作っていかなければならない。彼には時間が必要であり、我々は忍耐強くあるべきだ。復活を遂げた暁には、彼がチームにもたらす絶大な影響力を誰もが再び目の当たりにするだろう」
三笘が不在の間、ヒュルツェラー監督はデ・カイペルを一列上げるなど試行錯誤を繰り返してきた。しかし、局面を打開できる個の力の欠如は大きく、昨年末にネイラー氏は、「ミトマの不在という『ツケ』が、チームのパフォーマンスに重くのしかかり始めている」と警鐘を鳴らしていた。
待望の復帰を果たし、ここから本格的な復活が期待される三笘。その歩みは、ブライトンのみならず、日本代表にとっても極めて大きな意味を持つ。
文●下村正幸
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