
“吉田エスパルス”の仕上がり具合。ジュビロに3発完勝。目ざすべきスタイルは共有されてきているようだ
清水エスパルスは鹿児島キャンプの集大成として、1月24日に恒例のジュビロ磐田とのトレーニングマッチを行ない、40分×4本の合計スコアで3-0の勝利を飾った。
コンディションに事情などを除き、両チームの主力組と見られるファーストセットがぶつかり合った1、2本目はスコアレスに終わったが、3本目のFWアルフレド・ステファンス、FW千葉寛汰による得点に見られるように、吉田孝行新監督が求める、高い位置で奪ってダイレクトに攻め切るスタイルが、交代選手たちも含めて共有されてきているようだ。
本職ストライカーでありながら、インサイドハーフから幅広く攻守に関わったのが北川航也だ。「試合全体を通して勝利で終われたことは良かったと思います」と総括しながら、北川が出ていた1、2本目で無得点だったことを反省材料として認識している。北川は「やっぱり勝ち切るに値する試合ができなかったので。そこは残りの開幕までの期間でやることをはっきりして、チームとして進むべきところに持っていければ」と語る。
そのポジションで吉田監督に与えられたタスクに関して、北川は「守備だったり、攻撃だったりと求められるところは高いですけど、一番はペナルティエリアに入って行くこととか、ゴール前に入って行く。フォワードとして得点できるところに入って行くことは言われています」と説明する。
実際、磐田の守備ブロックに行く手を阻まれる時間帯も多かったが、大型FWのオ・セフンを起点に左からカピシャーバが縦を破り、北川が飛び込んで合わせたシーンはオフサイドという結果を差し引いても、清水の狙いが表われているものだ。それに関連して、北川は基本的な意識の大事さを強調した。
「奪った後に前に出て行くとか、奪われたら全力で戻るとか。前線の選手に求められるものが高い。それをやらなければ、相手のゴール前に入って行くことは難しいので。オフサイドにはなりましたけど、ああいった何気ないクリアボールから前に出ていく選手がいれば、ああいったシーンが増えると思う。そこは全員が意識できれば、ゴール前に入って行くシーンもできるかなと思います」
このダービーの戦い方を見る限り、吉田監督がヴィッセル神戸で掲げてきたスタイルと大枠に違いはない。その意識をいかに揃えていくかがベースになるが、やはり清水の選手なりの個性があるなかで、チーム戦術のタスクに個性をどう上乗せしていくかという作業が大事になってくる。
守備面は磐田の可変性の高いビルドアップに対して、コンパクトなスライドで簡単にはボールを運ばせなかった。ただ、フレッシュだった1本目に比べると、2本目はサイドチェンジに対するスライドが遅れて、高い位置に起点を作られたところから、ゴール前を閉めて切り抜けるシーンも見られた。
吉田監督は「失点ゼロで終われたことは良かったと思いますし、守備でやっていることは随所に出たかなと思います。攻撃はもう少しチャンスを作るというか。そういう意味では、自分たちのやりたいことはもっとできたと思う。それは課題になった」と振り返る。
守備の要点に関して、吉田監督は「コンパクトなところからプレッシングをかけて、ボールを奪いに行くこと」と語る。もちろんキャンプ終わりの疲労もあり、それがすべてうまくいったわけではないが、大きなところのビジョンを揃える部分に関しては、吉田監督も満足している様子だった。
もう1つポジティブなのが、3、4本目も含めて、交代で出てきた選手たちが高い競争力を示したことだ。3本目に得点したアルフレドと千葉、4本目にチームの3点目を記録したFWアフメド・アフメドフなど、アタッカー陣のアピールも目立った一方で、大卒ルーキーのMF大畑凜生が1本目から起用されて、攻守にハードワークを見せた。
中盤も長期離脱から復帰してきたMF宇野禅斗が、途中からキャプテンマークを巻いて30分ほどプレー。U-23アジア杯の優勝メンバーとなったMF嶋本悠大も含めて、ハイレベルな競争が繰り広げられそうだ。
吉田監督は「選手の能力を見るのに、ゲームというのは一番分かるし、その意味ではボランチだけでなく、面白いなと思う選手もいました。意図的に違うポジションをやらせて、どのぐらいできるのかを理解している段階。新しい発見もあった。ちょっと何人かアクシデントが出てしまったけど、プラスの部分もあったと思います」と目を細める。
個々のリーダーシップという観点では、元日本代表DFの酒井高徳など、経験豊富な選手が引っ張る環境があった神戸に比べて、まだまだこれからという見方はあるかもしれない。
そこに関しても指揮官は前向きだ。「(酒井)高徳も好き勝手なことを言っていたわけじゃなくて、僕が言ってることをより早く察知して、より細かいディテールの部分まで話せたそういう選手がけっこうたくさんいて、若手もベテランも良くなっていったっていうのはあるんですけど。清水でも最初は様子をうかがいながらではあったんですけど、トレーニングが終わった後に色々と聞いてくる選手もいるし、選手同士でも話している」。
試合ではやはり35歳のDF吉田豊や神戸から加入したDF本多勇喜の声がよく出ていたが、ここから良い意味で言い合う環境に変わっていくほど、上位躍進を目ざす清水のベースが引き上がっていくはずだ。
取材・文●河治良幸
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