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【涙の送別会】サーカス団員が「去る覚悟」を決める瞬間とは / 木下サーカスの思い出:第18回

【涙の送別会】サーカス団員が「去る覚悟」を決める瞬間とは / 木下サーカスの思い出:第18回

・向いていても

サーカス生活に向いていない団員が早々に姿を消していく一方で、サーカスに向いている団員であっても辞める日を考える瞬間は訪れる。理由はさまざまだが、結婚や出産、子供の成長……とくに小学校入学は大きな節目となるだろう。

サーカスは約3カ月おきに街を移動する。そのたびに転校をくり返す生活は、勉強も友達関係も一般的な学校生活と同じようにはいかない。

もちろんサーカスの子供は日本一たくさんの街を知り、日本一たくさんの友達と出会う。それを財産として前向きに受け止められる子もいる。だが全員がそうとは限らない。

「この子には1つの場所で育ってほしい」と考えた時、夫婦のどちらか、あるいは夫婦そろって退団し、定住するという選択肢も浮かび上がる。いつまで旅を続けられるのか……それは団員たちにとって、避けて通れないテーマである。

・やり切ったパターン

また、一般的な企業と同じように「やり切った」と感じた者が、次のステージを目指してサーカスを去ることもある。サーカスで得た経験をまったく別の場所で生かしたい。それも立派な理由だろう。

サーカスでは退団の意思をおよそ半年前に責任者へ伝える。代わりがいないからこそ「芸の継承」と「仕事の引き継ぎ」を時間をかけてしっかり行わなければならない。辞めると決めた団員は最後の半年間、驚くほど真剣に後輩と向き合うことになる。

サーカスを去る覚悟とは、自分の未来を選ぶ覚悟であると同時に、歴史ある舞台を守り、次の世代へバトンを渡す覚悟でもあるのだ。

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