完全燃焼させるために4バルブ&ツインプラグ化
M8から、シリンダーヘッドはそれまでの「2バルブ」から、吸気と排気でそれぞれバルブを2つ備えた「4バルブ」へと進化した。単純に1つに対して2つのほうが多く吸入でき、多く排出できるという理論だが、空気を横から1つの吸入口で吸い込んでいるハーレーの場合、前後のシリンダーが空気を奪い合い、さらに2つになったインテークバルブによって乱流を起こしまくってしまう。このネガな要素を利用して、低中回転域で空気とガソリンをよく混ぜ、完全燃焼に利用しているのがM8流の4バルブヘッドなのだ。加えてツインプラグにすることで燃料を燃やし尽くし、排出ガスをクリーンにするというワケである。
M8の燃焼室

TCの燃焼室

高回転型から低~中回転型に
アメリカで高速道路の制限速度が引き上げられたことに伴って、高回転までエンジンを回しても追従し、効率よく燃焼するようにカムを2本にしたのがTCだ。しかし、環境規制がより厳しくなったことで、低中回転域の燃料を完全に燃やし尽くす目的でカムを1本に戻し、大排気量化でパワーを補ったのがM8。そのため両者の性質は大きく異なるのだ。
M8

TC

パワーロスをなくすために軽量化
コンロッドなどを軽量化することでパワーロスを極限まで軽減。これによってスロットルレスポンスが向上して、ピックアップがよくなり、加速力が向上している。同時に振動も少なくなり快適さも増した。M8は各部のパーツを新設計してエンジンが発生させる騒音を小さくしているのだ。

ヘッドに油冷システムを採用
TCの泣き所だったエンジン熱を下げるため、M8にはシリンダーヘッドの排気ポート周辺に新たにオイルライン(※写真の青いライン部分)を増設。それに伴ってオイルクーラーを標準装備した。同じく、エンジン熱の関係からTCでは1000回転以上だったアイドリング時の回転数が、M8から850回転に下げられている。


(出典/「CLUB HARLEY 2024年10月号」)