通り魔事件と一致した「死の予言」
母親は、あることに気づく。
「この人……ジャンケンしてるんちゃう?」
そう呟いた直後だった。
テレビから「ピピピピー」という無機質な警告音が鳴り、
ニュース速報のテロップが流れた。
『〇〇で通り魔事件が発生しました』
それは一度きりではなかった。
不思議なことに、女性が動いた直後には、通り魔事件の速報が流れることが何度もあった。
後になって振り返ると、
女性が出していたジャンケンの手は、事件の被害者数と一致しているように思えたという。
両手がグーの時は、事件は起きたが死者はいなかった。
だから、彼女は首を振っていたのではないか──。
母親は、そう考えるようになっていた。
母親が向かった、新宿アルタ前の現実
真相を確かめたい一心で、母親は家族に内緒で東京へ向かった。
新宿アルタ前。
若者たちの喧騒の中、その女性は確かに立っていたという。
下を向いたまま、緑色のワンピース姿で。
しかし、人波に一瞬視界を遮られた、その刹那。
女性の姿は、忽然と消えていた。
周囲を探しても、どこにもいない。
まるで、最初から存在しなかったかのように。
