いつからか当たり前になっていた「一口ちょうだい」
私には、学生時代からの付き合いの友人がいます。気が合って、何でも話せる大切な存在。ただ、一緒に食事をするたびに気になることがありました。それは、友人が必ず「一口ちょうだい」と私の料理に手を伸ばすこと。
最初のうちは、仲が良い証拠だと思っていました。「おいしそうだね」と笑顔で言われると、断る理由も見つからなくて。けれど、いつの間にかそれは毎回のことになり、私が何を頼んでも「それ気になる」「ちょっとだけ」と言われるように。
小さなことなのに、だんだんと食事の時間が重たく感じるようになっていったのです。
言葉にできないもやもやを抱えて
友人に悪気がないことは、わかっていました。きっと本人は、親しさの表れだと思っているのでしょう。だからこそ、「やめてほしい」と伝えることができませんでした。こんなことで関係を壊したくない、器の小さい人間だと思われたくない。そんな気持ちが邪魔をして、いつも曖昧に笑ってやり過ごしていたのです。
帰り道にふと、「今日も私ばっかり分けてたな」と思い返す夜が増えて。友人との食事が、純粋に楽しみではなくなっている自分に気づいたとき、このままではいけないと感じ始めました。
