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中3で夜逃げ、2年間のホームレス生活。36歳で「こども万博」を創設し、9.5万人を動員した元看護師の話。

中3で夜逃げ、2年間のホームレス生活。36歳で「こども万博」を創設し、9.5万人を動員した元看護師の話。

自宅の一室で始めたことが、大阪・関西万博で開催される子ども向けイベントに

──放課後や週末に子どもを受け入れる仕事が、なぜ大阪・関西万博で開催されるまでの規模になったのですか?

ある日、子どもたちに「将来の夢って何?」と何気なく聞いたんです。

そうしたら「え〜、言いたくない」と、最終的に教えてくれたのは1〜2人だけ。「あれもこれも!」と夢が出てくると思っていたので、衝撃的でした。

「じゃあ、明日から全部未来だとしたら何がやりたい?」と聞き直したら、やりたいことはいっぱい出てきた。でも子どもたちは、それが大人の言う「夢」に値しないと思っていたんです。

その日は付箋にやりたいことを書きまくってもらい、壁に貼ったところ128個になりました。

中3で夜逃げ、2年間のホームレス生活。36歳で「こども万博」を創設し、9.5万人を動員した元看護師の話。

そこで「できるかどうか分からないけど、これ全部やってみない?」とみんなに言って、実際にやり始めたんです。たとえば「お風呂サイズのゼリーをつくりたい」。本当に試したら固まらなくて失敗(笑)。

でも子どもたちは、私が失敗するとすっごく楽しそうで。私自身も、子ども同士の「失敗しても、麻里先生ほどじゃないから大丈夫だよ!」という会話を聞いたとき、「大人も一緒に失敗して成長していいんだ」と気付かされました。

──128個の夢を、一つずつ叶えていったのですね。

でも中には、「ペットショップの店員さんになりたい」など、私一人では手伝ってあげられない夢もありました。

そんなときはお店に「協力してもらえませんか?」と電話したり、突撃営業したりして、近所では少し有名な子どもの団体になっていったんです(笑)。

2022年、クラウドファンディングに挑戦し、資金を集めて、神戸市内に少人数制アフタースクール「こどもCandy」をオープン。イベントをすると、20〜30名の子どもたちが集まりました。

ただ常時通ってくれる子は数名程度。スクール運営としては苦戦していました。

でも日々活動する中で、「もともと前に出ないタイプだった子がリーダーシップを発揮する」など子どもたちにも変化があったんです。この姿を親御さんに見せてあげたいな、という思いが始まりで、同年9月、神戸ハーバーランドで第1回のイベント「こども万博」を開きました。

ここでは、地元企業にご協力いただき、小学生の夢スピーチコンテストや職業体験、ステージパフォーマンスを行いましたね。2022年は神戸と愛知の2回でしたが、2023年には4回、2024年には13回と規模が大きくなっていったんです。

中3で夜逃げ、2年間のホームレス生活。36歳で「こども万博」を創設し、9.5万人を動員した元看護師の話。
2022年から約3年で、累計9.5万人を動員。夢のスピーチコンテストや職業体験、縁日などを子ども主体で行う

とはいえ、立ち上げから2年半は収益のことを考えておらず、多額の持ち出し費用がかかりました。「子どもが主役」というコンセプトを理解してもらうのにも時間がかかり、イベントを継続する難しさを実感しましたね。

でも思い切って動いたからこそ、同じ想いを持つ仲間たちとも出会えた。今では、万博や自治体と連携する、年間1億円以上が動く事業規模のイベントになりました。

こんなにも大きな金額が子どもたちに使われたと思うとうれしくなりますね。自分たちだけでは到底実現できなかったことです。

最初から情熱があったわけじゃない。“小さく動いてみた”から分かった

──「これがやりたい!」という強い思いがなくても、手塚さんのように新しい道に進めるものでしょうか?

正直に言うと、私も最初から、人に語れるような大きな夢や情熱があったわけではないんです。ただ「この子たちのためになるなら、やってみよう」と全力で応援していただけでした。

そもそも情熱は、やってみてからしか生まれないと思うんです。やってみて生まれたらそれでいいし、生まれなければ「違ったんだ」と分かる。

キャリアを考えるとき、得意なことに一点集中する方法もありますが、私自身は、人生は一回しかないのだから、やりたいことは全部やってみたらいいと思います。

たとえば、私が自宅で子どもたちに「やりたいことは何?」と聞いたときのように、紙に書き出してみるんです。次にどういう順序なら実現できるか考えてみると、突破する道筋が見つかるはずです。

──最後に、スタジオパーソルの読者である“はたらく若者”に、「はたらく」をもっと自分らしく、楽しくするためのアドバイスをお願いします。

どんな仕事でも、どんな環境でも、面白いことをしようと思ったら誰でもすぐにできるはずです。今「面白くないな」と感じているとしたら、きっとその環境をつくっているのは自分自身。

“はたらく”を自分らしくする第一歩は、仕事を変えることじゃなく、“自分の動き方”を変えることかもしれません。

完璧を求めるより、小さくても一歩を踏み出してみてほしいですね。

(取材・文:原由希奈 写真提供:株式会社Meta Osaka)

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