
【名古屋の最新序列】献身性と創造性を兼備する選手をピンポイント補強。「前への選択肢を持ち続けろ」と叫ぶ指揮官の哲学にどれだけ応えられるか
いよいよ2月6日に開幕を迎えるJ1百年構想リーグ。シーズン移行前の特別大会に、各クラブはどんな陣容で臨むのか。本稿では名古屋の最新序列とチームの現状をお届けする。
――◆――◆――
期待は不安の裏返しでもあり、その逆もまた然りだ。日本での20シーズン目の指揮となる“ミシャ”ことミハイロ・ペトロヴィッチ監督が作り上げるスタイルは、もはやJリーグにおける確立された戦い方のひとつで、ここ名古屋での指揮においてもその内容には寸分たがわぬところが今のところはある。
1月5日の始動日からの6日間、そして沖縄でのキャンプ13日間を通じたトレーニングの中で繰り返されたのは、“ミシャ式”の基本的な概念と必要なプレースタイル、そして意識の傾け方だった。広島や浦和、札幌が見せてきた魅力的かつ攻撃的、考えて走って相手よりも得点を奪って勝つサッカーで、名古屋は新たな時代の構築を目論む。
説明不要の域に達しつつあるミシャ監督の戦い方は、他クラブがうらやむ選手のクオリティと選手層によって次のフェーズを迎えるかもしれない。オールコートマンツーマンでの守備と即時奪回による速攻を始めたのは札幌時代で、過度に思えるほどのハードワークを選手に強いるスタイルとも言えるわけだが、名古屋の選手たちはそれを前体制下において経験済みだ。
今季はそこに小屋松知哉や高嶺朋樹、マルクス・ヴィニシウスら献身性と創造性を兼ね備えた選手たちをピンポイントで補強し、ミシャ式の表現力をさらに高めている。山岸祐也や木村勇大、ヴィニシウスらFWの選手がキャンプでの練習試合でしっかり得点を挙げていることも良い傾向で、昨季11得点の稲垣祥は、今季は守備の要としての役割に転じそうだが、それもチームの戦術理解度が深まれば変わってくる可能性はある。
このサッカーにおいて攻撃だけ、守備だけでいい選手はおらず、「11人でサッカーをする」と指揮官も常々明言しているからだ。
ただし、この特殊で難解なスタイルを始動から開幕までの5週間で体得しろというのはやや無理な注文で、沖縄キャンプを通じての成果としては、このやり方の入り口に立った程度のもの。何を監督が望んでいるか、何をすればこのスタイルは稼働するのか、そのために必要なスキルは何か。
それらを理解し実践に移し始めた段階というのが現状で、練習試合の相手としてもFC東京や水戸などJ1のチームとは戦ったが、FC東京とは1月15日とまだまだ始動直後に近いタイミングでプレー強度それほど高くはなく、水戸は昇格組としての模索の最中で3本合計7-1の大勝を得るぐらいのゲームレベルだった。
ベテランの永井謙佑や稲垣は「もっと高いレベルの試合になってどうなるか」という姿勢を崩さず、チーム構築のレベルについては良い意味で懐疑的。慣れているハイプレスやマンツーマン守備では良い反応を見せられている一方で、誰もが思う“ミシャ監督のチームらしい得点”というのはまだ少なく、その意味でも名古屋の現状は未知数というのが妥当なところだ。
クラブは掲げるべき当然の目標として、百年構想リーグの優勝とACLE出場権獲得を口にするが、ミシャ監督は冷静に、現実的に「3月か4月くらいまではいろいろなパターンや、メンバーもローテーションしながら、内容を求めつつ、少しでも良い結果を残せるようにトライしていきたい」と語っており、その“少しでも良い結果”を優勝にどれだけ近づけられるかというのが勝負になる。
攻撃陣はとても意欲的にこの攻撃スタイルを受け入れ、取り組んでおり、守備もこれから厳しい局面が多く訪れそうだが、昨季を3度の負傷でほぼ棒に振ったシュミット・ダニエルが好調をキープ。今季は巻き返しを誓うシーズンであり、コンディション調整もパフォーマンスも上々のものをキャンプでは見せた。
彼の力で防いでいるピンチの場面も練習試合では多々あり、こうした攻撃に全振りのチームにおいてはその存在は心強くもある。そう考えれば、今季のチームもピーキーなものにはなりそうだが、歯車がはまれば“魅せて勝つ”ことを体現することも可能だろう。
「勝利文化構築」を掲げ、プレーモデルもチームフィロソフィーも再定義して臨むシーズンである。とにかく今は理想を掲げ、理想に向かって取り組み続けるフェーズだけに、「前への選択肢を持ち続けろ」と叫ぶ指揮官の哲学に選手がどれだけ応えられるかで、名古屋の試合の面白さ、勝敗がどちらに偏るかは決まる。
文●今井雄一朗(フリーライター)
【画像】日向坂や乃木坂の人気メンバー、ゆうちゃみ、加護亜依ら豪華タレント陣が来場、Jリーグのスタジアムに華を添えるゲストを特集
【画像】長澤まさみ、広瀬すず、今田美桜らを抑えての1位は? サカダイ選手名鑑で集計!「Jリーガーが好きな女性タレントランキング」TOP20を一挙紹介
【記事】「大谷翔平って何であんなに凄いの?」中村俊輔の素朴な疑問。指導者としてスーパースター育成にも思考を巡らせる
