最新エンタメ情報が満載! Merkystyle マーキースタイル
脳トレ四択クイズ | Merkystyle
<クスノキの番人>高橋文哉×天海祐希「声で繋がった信頼関係」 アニメ映画初主演と8年ぶりの声優で見せる新境地

<クスノキの番人>高橋文哉×天海祐希「声で繋がった信頼関係」 アニメ映画初主演と8年ぶりの声優で見せる新境地

アニメーション映画「クスノキの番人」で声優を務める高橋文哉、天海祐希
アニメーション映画「クスノキの番人」で声優を務める高橋文哉、天海祐希 / 撮影=茉那実

東野圭吾作品初のアニメーション映画化として話題の「クスノキの番人」が、1月30日(金)にいよいよ公開される。不当な理由で職場を解雇され、罪を犯してしまった青年・直井玲斗と、彼に救いの手を差し伸べる伯母・柳澤千舟。クスノキの番人を任された玲斗と、彼を見守る千舟が織りなす、感動のヒューマンドラマだ。今回、主人公・玲斗の声を務める高橋文哉と、千舟を演じる天海祐希にインタビューを実施。初共演となるお互いの印象やアフレコの裏話、そして作品のテーマである「思いの継承」について、たっぷりと語ってもらった。

■初共演でお互いに感じた「信頼」と、原作から受け取った「愛」

――まずは、アフレコでご一緒された際のお互いの印象からお聞かせください。

天海 すごい上手だなって思いました。「上手」なんて言うと上から目線のようで大変に失礼なんですけど、でも本当にお上手で。台本を読んで抱いていた玲斗くんのイメージがあったんですが、「わあ、ぴったり!」と。これは私も頑張らなきゃと、気合が入りましたね。

高橋 僕は天海さんとは初対面だったので、実際にお会いするまではけっこう緊張していました。そういう意味では、玲斗と同じような緊張感を持っていたと思います。今の自分ができることを精一杯お見せして、天海さんに成長した姿を見せられるようになりたいなと、玲斗と同じ感情でお芝居させていただきました。
天海祐希
天海祐希 / 撮影=茉那実


――今作は東野圭吾さんの作品ですが、原作を読まれた感想はいかがでしたか?

天海 私は千舟さん目線で読んだんですけど、彼女が歩んできた歴史や背景がすごく胸に刺さりましたね。私自身は、彼女のように何か大きな事業を成し遂げたわけではないけれど、でもずっと後悔していることがあったり、それを胸に秘めて生きていたりと、年齢的にも共感できるところはありました。とくに、「凛としなければいけない」と自分を律してきた人が、最後に見つけた希望が玲斗くんというのも、すごく切なくもあり優しくもあり。東野先生の文章は、一見冷たいような言葉でも、その裏に隠された人に対する温かさや情を汲み取れるのが本当に素敵だなと思いました。

高橋 読み手に色々なことを想像させてくれる作品だと感じました。東野先生が「アニメーションになれば素晴らしい」とコメントされている理由がすごくよく分かります。それでいて、小説からアニメになっても劇中で大切にしている部分は同じで、そこは作り手の皆さんの愛と、東野先生の中にある愛がブレずに集約されている感じがして、圧倒されました。
「クスノキの番人」より
「クスノキの番人」より / (C)東野圭吾/アニメ「クスノキの番人」製作委員会


■“過去の音声”が導いた役作り 対面収録で生まれた千舟との絆

――高橋さんは長編アニメーション映画初主演となります。現場ではどのように役を作り上げていったのでしょうか?

高橋 僕は今回、監督の伊藤(智彦)さんにすごく助けていただきました。最初にお会いした際、伊藤さんは「いつかの僕の声を聞いてオファーした」と言ってくださったんです。思い返せば、これが何に使われるかも知らない状態で言葉を録音して送ったことがありました。伊藤さんはその時の僕の声を聞いて決めてくださったらしく、お芝居についても「ありのままやってほしい」と言われました。とは言え、演じるのは僕ではなく玲斗なので、「ありのままと言われても……」と最初は悩みました。ただやっていくうちに伊藤さんがおっしゃる「ありのまま」の意味がだんだんと分かってきて、それが玲斗とも重なってきたんです。毎日収録が終わるたびに楽しくなっていって、結果的にアフレコの期間で成長できたのかなと思いました。

――玲斗は冒頭、とくにやさぐれた芝居もありますが、そういう感情などはご自身の中にあったものですか?

高橋 やさぐれた感じは、僕の中には正直あまりないです。ただ、玲斗がそうなってしまった環境や理由は理解できたので、共感することはできました。それが自分と照らし合わせる一番の近道だったので、そこは素直にやっていきましたね。
高橋文哉
高橋文哉 / 撮影=茉那実


――一方、天海さんが演じる千舟は、声の圧を感じさせつつも深みのあるトーンが印象的でした。

天海 私も伊藤監督の指示を頼りにしながら調整していきました。玲斗くんの心情も、千舟さんの心情も理解できる年齢なので、なんとなく「こうじゃないかな」と思いながらトーンを合わせて。とくに後半、千舟さんと玲斗の関係性が深くなっていった時には、マイクを向かい合わせて、お互いの顔を見ながらセリフを喋るということをやらせていただけて、それはとても助かりましたね。

――アニメのアフレコではみんなが前を向いて喋りますから、向かい合わせというのは珍しいですね。

天海 そうですよね。特別だったと思いますけど、「人の顔を見てお芝居する」というのは私たちが普段やっていることなので、こちらのフィールドに寄せてもらった感覚でしたし、いちばん大切なシーンで向き合ってお芝居をさせていただけたことはすごく嬉しかったです。

――高橋さんのお芝居から刺激を受ける部分もありましたか?

天海 ありました。千舟さんはいろいろなことを背負っていて、ギチギチに固まった状態で始まるんですけど、高橋くん演じる玲斗の“抜け感”のようなものが、そんな千舟さんをだんだんとまろやかにしていってくれて、それは本当に高橋くんのお芝居によるものだと思います。
「クスノキの番人」より
「クスノキの番人」より / (C)東野圭吾/アニメ「クスノキの番人」製作委員会


「クスノキの番人」より
「クスノキの番人」より / (C)東野圭吾/アニメ「クスノキの番人」製作委員会

■天海祐希の持論「思いは受け取る準備ができた人に」

――作中ではクスノキが人々の祈りを受け止める神秘的な存在として描かれます。天海さん自身は、誰かに思いを届けたい、あるいは受け取りたいという気持ちはありますか?

天海 そうですねえ。亡くなった家族や親類の思いを受け取れたらいいなと思うことはありますけど、自分から誰かに思いを届けたいという気持ちはあんまりないかな。今って、いつでも自分から好きに発信できる時代じゃないですか。でも同時に、私の中ではそれが最善ではないような気がして。受け取る準備ができていない人に向けていくら届けても、一方通行になってトラブルになることもあるじゃないですか。

――確かに、受け取る側の準備は大切ですね。

天海 そう。届けた側だけが満足する関係なんですよね。だから大切なのは、誰かに何かを伝えたいという祈りと、それを受け止めようとする心。その両者が揃って初めて素敵なバトンになると思うんです。私は、ありがたいことにこうして出演した作品がずっと残っていきますし、受け取る準備のできている方がそれを受け取ってくれるような気がしているので、それでいいような気がするんですよね。
天海祐希
天海祐希 / 撮影=茉那実


――高橋さんはいかがですか?

高橋 僕はまだ身近な人が亡くなった経験がないので、そういうことは想像ができていないかもしれません。でもこの作品を通してその大切さを感じて、離れた場所に住んでいる祖父母のことを思い出して、収録が終わった後に久しぶりに電話して話をしました。そのあと「鰻」も送ったりしました。

天海 偉い! 喜んだでしょう?

高橋 はい。お返しに「鰻」を囲んだ写真を送ってくれたりして。思い返してみれば、僕が小さい頃から、祖父母は色々な物を送ったり届けてくれたりしていたんです。大人になった今、改めて「返していきたい」と思うようになりました。
高橋文哉
高橋文哉 / 撮影=茉那実


「クスノキの番人」より
「クスノキの番人」より / (C)東野圭吾/アニメ「クスノキの番人」製作委員会

■対照的なマイルール 高橋の「書き込み」と天海の「書き写し」

――最後に、「クスノキの番人」の「番人」にかけて、仕事におけるマイルールやこだわりがあれば教えてください。

高橋 僕は毎回、台本に色々な言葉を書き込みます。クランクイン(※収録初日)の前日に、表紙裏の真っ白なページに思ったことを書くと決めていて。この作品だったら「楽しく最後まで」とか、作品によっては「一呼吸置く」とか。台本は毎日手にしているものなので、例えば壁に当たった時、ペラっとめくった時にこの言葉がよぎったらいいなと。今の自分が未来の自分を救えるようにと思って書いています。

天海 自分で自分を励ますんだ。素敵。

高橋 ありがとうございます。もともと字を書くのが好きで、とくに手書きの文字にはパワーがあると思っているんです。
【写真】高橋文哉×天海祐希が作品についてたっぷりと語る(撮りおろし6枚)
【写真】高橋文哉×天海祐希が作品についてたっぷりと語る(撮りおろし6枚) / 撮影=茉那実


――ちなみに、天海さんは台本に書き込みなどはされますか?

天海 私はないですね。むしろ逆に、台本に何かを書き込むのが嫌なタイプです。

高橋 確かに、天海さんの台本ってすごい綺麗なままですよね。

天海 これはマイルールってほどでもないですけど、縦書きだとなんとなく覚えにくくて、あえて横書きにするんですよ。自分のセリフを別の紙に自分で横書きで書いて、そこにブレスの位置とかを書き込んだりしています。

高橋 すごい。ご自身で書き写すんですね!

天海 そう。気分を変えたいところで段を変えたりして。昔、連続ドラマでものすごい量のセリフを覚えなきゃいけない時に、時間もないしお風呂に入りながら覚えようと思ったんですけど、台本がヨレヨレになるのが嫌で(笑)。じゃあ別の紙に書こうと思って、横書きに書き写した紙を持って湯船に浸かりながら覚えたら、これが結構入って、「これだ!」と味をしめて(笑)。自分が書いたものを見ながらセリフを喋るとスッと入るし、なぜか映像も浮かびやすいんですよね。それ以来、マイルールというわけでもないですけど、長セリフはそうやって覚えております(笑)。

――ありがとうございました!

◆取材・文=岡本大介
「クスノキの番人」キービジュアル
「クスノキの番人」キービジュアル / (C)東野圭吾/アニメ「クスノキの番人」製作委員会


あなたにおすすめ