雪崩に巻き込まれ、雪の中に完全に埋没した過去を告白したスノーボーダーの投稿が大きな反響を呼んでいる。命の危険を伴う体験とともに冬山事故への警鐘を鳴らした内容に、トップアスリートや著名人から共感と賛同の声が相次いだ。
2月6日に開会式を迎えるミラノ・コルティナ五輪でノルディックスキー複合に4大会連続出場し、メダル獲得を目指す渡部暁斗や、東京、パリ大会と2大会連続で五輪に出場したBMXフリースタイルの中村輪夢、さらにパリ五輪BMXレーシングでオーストリア代表として金メダルを獲得した榊原爽ら、世界で活躍するアスリートのマネジメントを手がけるファーストトラック株式会社の塚田邦晴社長が、自身のインスタグラムを更新。雪崩に巻き込まれた壮絶な体験を実際の映像とともに発信した。
塚田さんは、大寒波が日本列島を襲った1月25日、「6年前に雪崩で完全埋没した自分は、今日みたいな日はバックカントリーやサイドカントリーに行くことは言うまでもなく、スキー場でもソロでは怖くて滑れません」と切り出し、事故当日のことを詳細に明かした。
「バックカントリーを滑っていた2020年2月。プロのガイドさん2人と仲間1人の合計4人での山行でした。リスクのある”地形の罠“を通る場所だったので1人づつ間隔を空けて順番に滑ることに。自分がボトムを滑った際に左側の斜面が崩れ、気づいた次の瞬間には埋もれて全く身動きが取れませんでした」
さらに、「幸い口元にエアポケットが出来たのでパニックにならずにすみましたが、暗闇の中、全く動けない状況で恐怖感がどんどん高まり、死も意識しました」と振り返った。
塚田さんの脳裏には、家族の顔が浮かび、「絶対に死ねない」と必死に念じながら、わずかに動く左手を動かし続けていたことを回顧。その後、雪が少しずつ崩れ、かすかに太陽の光が差し込んだ頃、雪崩ビーコン(救助道具)で位置を特定していたガイドと仲間が斜面に開いた穴を発見。遠くから聞こえた声に「心底ホッとしたことを昨日のことのように覚えている」と明かした。
埋没していた時間は約5分。しかし本人にとっては「永遠のように感じた」という。この事故を境に、ソロでのバックカントリーやサイドカントリー滑走は一切やめ、現在はゲレンデでもビーコンを装着して滑るようになったと説明した。
塚田さんは「よく“山で死ねたら本望”みたいに格好つけたこと言ってましたが、死がリアルに目の前に迫ったら絶対そんなこと思えないです」と綴り、近年、冬山での訃報が続いている現状にも触れ、「雪山を愛する仲間達の安全を祈ると共に、自戒の念をこめて、この雪崩事故の投稿をした」と伝えた。
この投稿には大きな反響が寄せられ、ミラノ五輪にスキージャンプ女子で4大会連続出場の高梨沙羅、スケートボード男子ストリートで東京・パリ五輪で2大会連続金メダルの堀米雄斗といったトップアスリートや俳優の松田翔太さんらも反応。コメント欄には「あなたが助かって本当によかった」「注意喚起のために体験談を公開されることはとても大切なこと」「安全意識を改めて考えさせられた」といった声が並んだ。
一方で塚田さんは、「何度も雪崩にあったり(カナダでも雪崩にあいました)、滑落して膝を粉砕骨折したり、死にかけた経験をしても辞められないんだから、スノーボードは最高」と競技への深い愛情も吐露。「だからこそ、セーフティーファーストでずっと滑り続けます」と強調した。
なお、公開された映像や写真については「この映像や写真は二次被害のリスクがない離れた場所から記録用に仲間にお願いして撮影してもらったもの」と説明し、最後に「命を助けてくれてありがとう」と結んだ。
これまでの大雪によって積雪が多くなっている地域では、雨が降ることで雪解けが進行する。さらに、湿った重い雪が新たに積もると、雪崩や落雪が発生しやすくなるため、十分な注意が必要だ。
構成●THE DIGEST編集部
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