学生が前に立つことで生まれた、もう一つの学び

今回のイベントでは、歯科医師や歯科衛生士を目指す学生たちが、企画や当日の運営に深く関わっていました。会場で子どもたちと向き合い、言葉を選びながら説明をする姿は、「教える側」というよりも、同じ目線で寄り添う存在だったように感じられます。
学生たちが担ったのは、単なるサポート役ではありません。事前準備から当日の進行、来場者への対応まで、イベント全体を動かす中心的な役割を担っていました。自分たちが学んできた知識を、どうすれば分かりやすく伝えられるのか。その工夫が、子どもたちの反応として返ってくる場でもありました。
人形劇のプログラムにおいても、学生たちは重要な役割を担っていました。専門的な内容をそのまま伝えるのではなく、物語ややり取りの形に置き換え、子どもたちが自然と理解できるように構成する。その過程には、「どう話せば伝わるか」を考え抜く視点が求められます。知識を持っているだけでは成り立たない、伝え方そのものを学ぶ経験だったと言えるでしょう。
専門的な内容を、かみ砕いて伝えることは簡単ではありません。けれど、実際に人と向き合うことで初めて見えてくる課題や気づきがあります。学生にとって今回の経験は、将来医療に携わる立場として必要な「伝える力」や「向き合う姿勢」を実感する機会になったのではないでしょうか。
学ぶ側である学生が、地域の中で役割を持ち、誰かの役に立つ。その経験が、学びをより立体的なものにしていく。そんな循環が、このイベントのもう一つの価値として感じられました。
参加者の反応から見えてきた、この取り組みの手応え

イベント終了後には、参加者を対象にアンケートが行われました。そこには、「内容が分かりやすかった」「子どもだけでなく大人も楽しめた」といった声が多く寄せられています。体験を通して学ぶ構成が、世代を問わず受け入れられていたことがうかがえます。
特に印象的なのは、学生が関わるプログラムに対する評価です。「親しみやすい」「安心感があった」という声が多く、専門家ではなく、少し年上の存在として接する学生の立ち位置が、子どもたちにとって心地よい距離感を生んでいたようです。
また、保護者からは「家族で同じテーマについて話すきっかけになった」という感想も見られました。イベントの時間だけで終わるのではなく、日常に持ち帰って考える余白が生まれていたことは、この取り組みの大きな成果と言えるかもしれません。
さらに、「歯科医療の仕事に興味を持った」「また参加したい」といった声もあり、健康への意識づくりだけでなく、将来の進路や職業理解につながる一面も見えてきました。短い時間の中でも、学びと気づきが重なり合う場になっていたことが伝わってきます。
