阪神タイガースと佐藤輝明のチキンレースはいつまで続くのか。
佐藤の契約更改が、2月1日のキャンプインを直前に控えても終わらない。本人は1月27日に「揉めているとかではない」としながらも「(更改のメドは)まだ分からないですけど」と話しており、キャンプへの自費参加はほぼ確定的だろう。
過去、年俸で折り合いがつかずに自費参加した例は少なくないが、今回はそれとは事情が違うだけに厄介だ。
在阪スポーツ紙遊軍記者が現状を解説する。
「佐藤はポスティングシステムを利用しての、早期の大リーグ移籍を求めています。それだけならたまにある話ですが、今回は口約束ではなく、容認時期を明記した文書の作成を求めているといいます。球団としては、そんなことができるはずはない。仮に佐藤と文書を交わせば、今後、才木浩人や森下翔太らも続くことは間違いないでしょう。他球団へも波及するかもしれません。阪神としては飲めないでしょうね」
このまま長期化すれば「カッツ前田騒動、再び」となりかねない。「カッツ前田騒動」とは当時、西武に在籍していたカッツ前田こと前田勝宏が1995年の契約更改交渉の席上で突然、大リーグ挑戦を直訴して球団と大モメした一件だ。
前田は1992年秋のドラフト会議で2位指名され、プリンスホテルから西武に入団した投手で、「幻の100マイル投手」と騒がれた逸材だった。在籍3年間で登板はわずか25試合、0勝2敗、防御率4.89という成績しか残していなかったが、球団はその潜在能力に期待し、大リーグ挑戦を認めるつもりはなかった。
ところが前田の頑なな姿勢に、球団側が根負け。最終的に当時の堤義明オーナーが「和を乱す選手は不要。行かせてあげれば」という天の声で自由契約となり、ヤンキースに入団。マイナーリーグからメジャー昇格を目指すことになったのである。
現行ルールでは海外FA権を取得できる見込みは高卒で27歳。佐藤のような大卒選手は31歳まで待たなくてはならない。早い段階で大リーグでの活躍を夢見る選手は、球団との話し合いの末にポスティング移籍を容認してもらう道を歩もうとするが、各球団ごとに事情は異なる。
前出の遊軍記者は、
「仮に契約更改交渉が進まずに開幕を迎えれば、とんでもない事態に陥ります。ユニフォーム着用は許されず、開幕戦を含めた1軍の公式戦はおろか、ファームの試合にも出場できません。さらに球団側の許可がなければ、全体練習への参加だけでなく、球団の施設を使うこともできなくなる」
球団史上初のリーグ連覇のためには、佐藤の爆発力は不可欠。球団か佐藤のどちらかが折れて、ブレーキを踏まなくてはならない。
(阿部勝彦)

