「世界最高のフリーキックを蹴る男」と内転筋
177センチメートルという決して大柄ではない体格で、強烈な存在感を示せる点については、見事というほかない。
吉田麻也選手の仲介で私と出会ったころはプレミアリーグ「サウサンプトン」の中心選手だった。
そこから3度チームを移ったが、その数年間もずっと私を専属のフィジオに指名してくれて、私もそれに応えられるように支えてきたつもりだ。
プラウシーについては、とにかくフリーキックの練習にたくさん励む印象がある。
歴代2位の記録を持っている選手なのだから当たり前かもしれないが、彼を見ていると、結局のところ世界トップレベルでも「練習が結果を司る」という厳然たる事実を痛感させられる。
しかしその結果、プラウシーほどの名手でも、身体への負担が大きくなることからは逃れられない。
私が初めて診た時期は、彼も股関節痛に悩まされていたし、触ると股関節まわりがとても「硬い」印象があった。
もう少し具体的に言うと、「股関節から内転筋にかけて、つまっているような感じ」が最大の問題だった。
カチカチになっていたのは利き足ではなかった
フリーキックの猛練習をしているのだから、利き足の右足や、右足側の股関節がつまっているのだろうと予想していた。
しかし、実際には逆だった。
ボールを蹴っていない「左足」の股関節や内転筋のほうが、とんでもなくカチカチになっていたのだ。
世界的なフリーキックの名手になると、「軸足(蹴らないほうの足)にとてつもないパワーをためて蹴っているのだな」と、感心した記憶がある。
だから私は現在も、彼を治療するときは利き足の右足以上に、軸足となっている左足の股関節まわりがスムーズに動かせるようなケアを集中的に行っている。
そして、私がサポートできない遠征試合や代表チームの合宿などの間は、彼にも内転筋の「収縮」のトリートメントをしっかりとセルフで実践してもらっている。
プラウシーはとても真面目な性格なので、今でも私と約束したことをきちんと実行しているのがよくわかる。
初めて治療していた頃と比べて、内転筋がかなりの程度まで柔らかくなってきているし、股関節まわりの動きも非常にスムーズだ。
その結果には本人がいちばん驚き、喜んでいる。

