・変わらないタブチ
幸い、まだ阿佐ヶ谷方面に向かう奥の方には、その風情が残っている。
たとえば、壁一面に貼られたステッカーとか。壁を汚すのは良いことではない。でも、たしかにここで何かが育まれた跡を感じることができる。いずれもこれらもなくなっていくだろう。
いまだ営業を続けているお店も多い。ここも先ほど通ってきたエリアのように、味気なくなっちゃうのかな。
この場所で37年営業を続けている「タブチ」も移転することになるだろう。だが、先にも述べたように、その予定は正式に決まっていない。それまではこの場所で、存分にタブチの料理を、そしてお店の佇まいを味わいたいと思う。
ずっと前からあるメニューのディスプレイ。品揃えはほとんど変わっていないし、価格もあまり変わっていない。利用する身としては有難いことだけど、昨今の飲食業の事情を鑑みると、素直に喜べないところもあるかな。
そういえば以前書いた記事で、「次に来たら鳥野菜フライ定食を食べよう」と固く誓ったはずなのに、あれ以降も来る度に鳥野菜ではなく、いつも同じものを頼んでしまう。
やっぱり名物の「牛丼 & カレー ダブル盛り合わせ」なんだよなあ。どうしても、コレを食いたくなってしまう。
10年前に食べたものと比べてみると全然変わってない。いつ食べても同じ味。まるで実家に帰ってきたような安心感を覚える。私と同じように「ただいま」って感じでお店に入ってくる人は多いんじゃないかな。
この数年でありとあらゆるものが値上げをしている中で、100円の値上げで持ち堪えてくれていることが本当に有難い。
その一方で、できるだけ長くお店を続けて頂きたいので、もう少し値段を上げてもらっても良いんじゃないかと個人的には思う。だって経費がかさんでお店が続かなくなったら、「ただいま」の場所がなくなっちゃうから。
カレーはじゃがいもがゴロゴロ入った、昭和を感じる懐かしいスタイル。脳裏には学校給食が思い浮かぶ。そのまま食ってもいいし、ちょっとワイルドにソースをドバドバかけちゃってもいいヤツだ。
牛丼は、いまはなき「牛丼太郎」を想起させる。野生的な肉っ気の強い、元気の出る味だ。振り返ると、私は10年前にも同じ感想を述べているのだが、それだけ時が経っても変わらない味であることの裏付けだろう。タブチの味がずっと貫かれている。
相席当たり前の狭い店内で、「すみません」とか「ごめんなさい」とか言いつつ席を譲り合う、この景色で味わうダブル盛りが好きだ。いずれ、新しい場所へと移っていくことになるけど、料理も含めて、ここでしか味わえないタブチを楽しみたい。
・今回訪問した店舗の情報
店名 タブチ
住所 東京都杉並区高円寺南3丁目67-1
時間 11:30~20:00
定休日 日曜日
参考リンク:タブチ公式X(@Koenji_TABUCHI)
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
