エンターテインメントに特化した世界最大級の動画配信サービスを提供するNetflix。そんなNetflixの2026年配信タイトルから注目作を紹介するラインナップ発表会「Next on Netflix 2026」が開催された。
イベントは、Netflixコンテンツ部門バイス・プレジデントである坂本和隆のプレゼンテーションからスタート。「Netflixは”クリエイティブファースト”の信念のもと、日本のクリエイターとともに挑戦を重ね、映画・シリーズ・アニメ・アンスクリプテッド、各ジャンルにおいて多くの魅力的な物語をお届けしてきました。「今際の国のアリス」の世界的ヒットや「イクサガミ」のシーズン2制作決定、また世界中のファンを魅了するアニメの力強い勢いはより加速し、日本発作品のグローバルでの総視聴時間は2025年下半期において、過去最大へと成長。2026年は「多彩さ」と「大胆さ」をさらに推し進め、人間ドラマからSF、恋愛、リアリティまで、実に幅広い物語を展開いたします」と、これまでの成果を振り返り、2026年の作品の方針を強調した。
2026年のラインナップ紹介パートでは、シリーズ作品から「ダウンタイム」「SとX」「ガス人間」「国民クイズ」「俺のこと、なんか言ってた?」、アンスクリプテッド作品から「あいの里」シーズン3、このたびタイトル発表となったシリーズ作品「喧嘩独学」、映画『余命一年、男をかう』の映像が初公開された。
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【トークパネル1 映画】
本イベントでは豪華ゲストを招いてのトークパネルも行われ、【映画】パートでは、冒頭、ステージから登場した煌びやかなダンサー達が会場全体を盛り上げる中、映画『This is I』から、主人公・アイ(望月春季)のモデルとなった、はるな愛の性別適合手術を担った医師・和田耕治を演じた斎藤工、監督の松本優作、エグゼクティブ・プロデューサーを務めるNetflixコンテンツ部門・佐藤善宏の3人が登壇。80~90年代の楽曲たちが彩る本作ならではの華やかな雰囲気の中スタートすると、佐藤と斎藤は「本当は皆で踊って登場する予定だったが、昨日練習しすぎて足を挫いたのでダンスはやめてしっかり話そうということになりました(笑)」と冗談めかして会場の笑いを誘い、和やかな空気でイベントは幕を開けた。
まず、本作の企画のきっかけを問われた佐藤プロデューサーが「元放送作家の鈴木おさむさんから提案いただいた」と明かし、600人を超える性別適合手術を行った和田耕治医師の家族の深町公美子さんがまとめた著書「ペニス・カッター」と、はるな愛の自叙伝「素晴らしきこの人生」を参考に、80~90年代のダイナミズムと音楽を組み合わせて企画がスタートしたことを説明。
オファーを受けた際の心境を問われた松本監督は「Netflixで監督をすることが一つの夢だったので驚きました。はるな愛さんと和田先生という組み合わせや、二人の人生を知らなかったこともあり、こんな人生を生きられた方がいるんだと驚きました」と振り返り、本作の持つテーマ、メッセージに関しても「今の時代にしっかり映画として出すべき必要性がある物語だと確信した。自分らしく生きる、嘘をつかずに生きることは誰もがしたいと思いつつも難しいこと。特に80~90年代は今よりも理解がなく、その中で戦ってきた二人の姿をしっかり描きたいという思いが強くなった」と熱く語った。
斎藤は「松本監督のファンでもあったので、監督とNetflixという座組み、そして和田先生の著書『ペニス・カッター』というタイトルのインパクトに当初は驚いた」と率直に語り、「Netflixという強固な母体があって、奥にしっかりとした社会的意味を持った作品。今生まれるべきプロジェクトであり、自分の人生においても、和田先生の思想や未来に向けた作品に関われることを誇らしく思った」と、参加への強い意義をにじませた。
また、本作の主演に大抜擢された期待の新人・望月春希についてのトークに及ぶと、オーディション時のメイキング映像が場内でも映し出された。それを見ながら松本監督は「オーディションは3ヶ月ほどかけたが、会うたびに成長を感じた。誰よりもパワフルで、絶対に自分がはるな愛役をやるんだという強い気持ちが誰よりも強かった」と起用の決め手を明かし、斎藤も「これまでのNetflix作品からも生まれてきたライジングスター、まさにスター誕生、ですね。誰よりもまぶしくて、この人にしかできないという輝きがあった。宿る光があった。和田先生の人生がはるな愛さんによって変わったように、僕にとっても望月さんと対峙してお芝居をすることが人生のターニングポイントになったと思えるような瞬間があった」と、新人・望月の熱量と才能を絶賛した。
最後に、それぞれより配信スタートに向けたメッセージを問われ、斎藤は「完成したものを、はるな愛さんとお母様、そして和田先生のご家族と一緒に見た際、両家とも涙をされて抱き合っていた。それが一つのゴールであり理由だった。はるな愛さんの物語であり、夢を支えることが夢になった和田先生という一人の男性の物語でもある。皆さんの心の奥に届くことを願っている」と感動的なエピソードを披露。松本監督は「『自分って何なんだろう』という普遍的なテーマであり、一度立ち止まって考えるきっかけになる作品。キャスト・スタッフが一丸となって作り上げた。難しく構えず、エンターテイメントとして楽しめる作品になっているので、楽しんでいただけたら」と締め括った。
【トークパネル2 シリーズ】
続いて【シリーズ】パートには、「地獄に堕ちるわよ」の主人公・細木数子を演じた戸田恵梨香、瀧本智行監督、エグゼクティブ・プロデューサーを務めるNetflixコンテンツ部門・岡野真紀子の3人が登壇。冒頭では、本作の音楽を担当したピアニスト・作曲家の稲本響による、蛇笛を用いたメインテーマ曲に合わせて、戸田演じる細木数子がお札を燃やす映像と地獄絵図のイラストがスクリーンに映し出される。続いて、本編の名台詞「あんた、地獄に堕ちるわよ」が響き渡り、おどろおどろしい空気の中、戸田、瀧本監督、岡野プロデューサーがステージに登場。
まず、オファーを受けた心境について問われた戸田は「私には年齢も性格も自分とは似ても似つかない女性なので、とにかく不安を抱いたが、プロデューサーから『細木数子のマネをする必要はない。戸田さんが思うままを演じてほしい』と言われたことが勇気となりました」と当時を振り返り、続く瀧本監督も「生前の細木数子に対して苦手意識があり、オファーを2度断っていました。しかし、そういう人が撮った方が面白いものになると説得され挑戦してみようと思いました」と振り返る。
撮影中に唯一無二の信頼関係を築いていったという戸田と瀧本監督について、撮影中の雰囲気、エピソードを問われると、監督は「衣装合わせの際、最終回の準備稿に納得がいかなかった戸田さんが、私とプロデューサーの元へ現れ、『シナリオはこれでいいんですか? 何を訴えたいんですか?』と詰められまして‥‥」と極道の妻のような衣装の着物姿に鬼の形相で抗議を受け慌てたが、それと同時に「この人なら細木数子を演じられる」と確信したと明かした。それに対し戸田は「細木さんについて、いろんなものを読み解くと、脚本で描かれていることが穏やかな感じに少し思えて『どうせこの人をやるんだったら激しくやりたい』っていう気持ちがすごく湧いたので、多分必死になりすぎちゃったのかな」と笑いながら話した。さらに、予告映像公開時にも話題沸騰となった、細木数子のビジュアルについて、50年にもわたる年月を演じ切った戸田は「1人の人生を生きさせてもらって、台本だと本当は泣いちゃいけないところで涙が出てきたり、自分が今、数子を演じているのか、自分自身が今泣いてしまってるのか分からなくなってしまうような感覚があって。楽しい人生を生きれてしまったなあっていう贅沢な時間でした」と明かした。
さらに、台本作りについても話が及ぶと、当時細木さんに苦手意識があったため、かなり悩んだという瀧本監督は「一番大きなポイントは伊藤沙莉が演じる売れない小説家が細木数子の自伝的な小説を書くという、現在軸の中で人生が明らかになっていく構成」と明かした。監督のデビュー当時、伊藤演じる美乃里のようになかなか仕事がなかった自身を重ね、「細木数子の自伝映画を撮ってみませんか」と依頼が来たらどうかと考えシナリオを作ったと語った。劇中の舞台となる銀座の街並みを作り上げるにあたって、スクリーンで制作過程のメイキング映像を見ながら、高いVFX技術についても「単なる再現でなく、映画人としての表現に変えていくことが一番のポイント」と語った。長期に渡る撮影を改めて振り返り、戸田は撮影現場での自身の家庭との両立にも触れ、「約半年間の撮影は本当に濃厚で、自分自身も1つの家庭を持って過ごしているけど、もう1つ自分の人生が本当にここにあったなっていう体感がした。10代から60代まで演じてみると、たくさんの出会いと別れがあって、愛しい時間だなあっていう風に思いました」と振り返る。
最後に、それぞれより配信スタートに向けたメッセージを問われ、瀧本監督は「色メガネを持って見る方も、怖いもの見たさで逆に見たいっていう方もいらっしゃると思いますが、とにかく1人でも多くの人に見てもらいたい」、戸田は「見進めていくと、どんどん本当の細木数子が出てきて、「何を抱えていたのか」が見えてくると思うんです。その時にたくさんの方から嫌われてしまった存在だったけれども、すごく孤独なものを抱えていたということも、感じられて。テレビで見てきたこととはまた違う側面の細木さんが見えてくると思うので、最後まで楽しんでいただけたらなと思います」と締め括った。
