
山橋役の柄本時生さんプロフィール写真
【画像】え…っ!「アップにしても美しい」「うまそうすぎる」コチラが『ばけばけ』(明治24年)に登場したミートパイです
熊本には西洋料理人を連れてく?
2025年後期のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』は、1890年に来日し、『知られぬ日本の面影』『怪談』などの名作文学を残した小泉八雲さん(パトリック・ラフカディオ・ハーン)と、彼を支え、「再話文学」の元ネタとなるさまざまな怪談を語った、妻・小泉セツさんがモデルの物語です。
本作では最近、第15週で西洋料理も作れることが判明した「山橋薬舗」の店主「山橋才路(演:柄本時生)」の異常なまでの優秀さが話題になっています。主人公「松野トキ(演:高石あかり)」たちが住む武家屋敷へ出張してパーティー用の洋食をいくつも振舞ったり、薬舗の2階で誰でも勉強に使えるサロン「白鳥倶楽部」を開いたりと、時代を先取りしたかのようなサービスには視聴者から驚きの声があいつぎました。
そして、82話では、山橋が勉強していた「野津サワ(演:円井わん)」たちに、「せっかくの牛肉が余ってしまったので、ミートパイを作ってみました」と、見事な出来栄えのミートパイを振舞っています。食べたサワたちは「なんじゃこりゃ!」と、あまりのおいしさに驚きを隠せなかったようです。
この場面には、SNSで「レシピを知ってるにしても、この時代に『ミートパイ作ってみましたぁー!』って作れる人、なかなかいないよ、山橋さん何者」「この時代におやつにミートパイとか山橋シェフポテンシャル高すぎる。現代でも作る人はなかなかおらんだろうに」「ミートパイを手作りする店の主人はやはりただ者ではない。経歴不詳すぎて柄本時生のガワと相まってやばすぎる。惚れてしまいそうだ」と多数の反応がありました。
『ばけばけ』の山橋が、どういう経歴で高い技能を身に着けたのかは不明ですが、当時、松江に「レフカダ・ヘブン(演:トミー・バストウ)」のモデル、ラフカディオ・ハーンさんも感心した西洋料理人がいたのは史実通りだそうです。
ハーンさんがよくビールを買い求めたという、橘泉堂山口卯兵衛商店(現在も営業中の山橋薬舗のモデル)の向かいには、「魚才」という西洋料理店がありました。その店主は鎌田才治さんという人物で、山橋の下の名前の由来になっていると思われます。
鎌田さんは明治20年頃、当時全国的に珍しかった缶詰業の商売で成功し、洋食業だけでなく氷を扱う商売もするなど、実業家としても優秀だったそうです。『山陰道商工便覧』という書籍によると、「魚才」は1階で魚の加工販売をして、階段を登った2階で洋食屋を営んでいたことが分かります。ハーンさんは、隠れてこの店にステーキを食べに通っていたそうです。
ちなみに、なんでも日本式を好みながらも食事だけは西洋料理を望んだというハーンさんは、1891年11月から引っ越した熊本に、島根県出身の洋食の料理人を連れていっています。ヘブンの同僚「錦織友一(演:吉沢亮)」のモデル・西田千太郎さん宛の手紙で、ハーンさんは「出雲料理人」を住み込みで雇ったこと、そのおかげで生活費は安く済んでいることを書いていました。
この出雲料理人は鎌田さん以外の人物だと思われますが、『ばけばけ』では登場キャラを絞るために山橋を熊本まで呼び寄せる、という展開になるかもしれません。第20週から始まる「熊本編」に注目です。
※高石あかりさんの「高」は正式には「はしごだか」
参考書籍:『ラフカディオ・ハーン 西田千太郎 往復書簡』(訳:常松正雄/八雲会)
