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日比谷花壇と武庫川女子大学が向き合った 人とお花の新しい距離感

花は、誰かに贈る特別なもの。
そんなイメージを持っている人は、少なくないはずです。けれど最近は、「自分のために花を選ぶ」「気分を整えるために花を飾る」といった、少し違う距離感で花と向き合う人も増えてきました。

今回紹介するのは、そうした変化を象徴するような取り組みです。老舗のフラワーカンパニーである日比谷花壇と、武庫川女子大学の学生たちが一緒になり、「推し活」や「癒やし」といった、今の若い世代にとって身近なテーマを、花という存在と重ね合わせました。

イベントそのものが目新しいというよりも、注目したいのは、なぜこの形にたどり着いたのかという背景です。花を通して、どんな時間を届けたいのか。どんな気持ちに寄り添おうとしているのか。その考え方に触れていくと、この企画の見え方は少し変わってきます。

なぜ日比谷花壇は学生と一緒に企画をつくるのか

日比谷花壇と武庫川女子大学による産学連携は、今回が初めてではありません。これまでも、学生と共に商品や企画を考える取り組みが行われてきましたが、今回のプロジェクトでは、より「考える時間」に重きが置かれている点が特徴的です。

お花屋さんの仕事というと、完成された商品をいかに美しく届けるかに目が向きがちですが、日比谷花壇が学生と向き合う中で重視しているのは、その一歩手前にある問いです。なぜ今、お花なのか。なぜこの形なのか。そうした問いを、答えありきではなく、学生自身の言葉で考えてもらうことが、この連携の軸になっています。

背景には、お花が「特別な日のもの」という印象を持たれやすい現状があります。贈り物や記念日の定番として親しまれてきた一方で、日常の中で自分のためにお花を選ぶきっかけが見つけにくいと感じる人も少なくありません。特に若い世代にとっては、「お花は好きだけれど、どんな場面で取り入れればいいのかわからない」という声も聞かれます。

だからこそ、企業側が一方的に正解を示すのではなく、学生と同じ目線に立ち、感性や違和感を共有しながら企画を育てていく。その姿勢こそが、日比谷花壇が産学連携を続けてきた理由の一つだと感じられます。学生の自由な発想と、花のプロとしての経験が交わることで、これまでになかった視点が生まれていきます。

このプロジェクトは、学生にとっての学びの場であると同時に、日比谷花壇にとっても、お花と人との関係を見つめ直す機会になっているようです。次の世代と向き合うことで、花の価値を改めて問い直す。その積み重ねが、今回の企画の土台になっています。

Z世代の感性から生まれた「HANA ROOM」という考え方

今回の企画で軸となっているのが、「HANA ROOM」というコンセプトです。これは、花を特別な贈り物として扱うのではなく、自分のための時間や空間にそっと取り入れる、という発想から生まれています。その背景には、学生たち自身の等身大の感覚がありました。

学生たちは、花に興味がないわけではありません。ただ、日常の中で花を買う理由が見つからず、結果として距離ができてしまっている。そんな正直な気持ちを出発点に、では自分たちが「欲しい」と思える花の形とは何かを考え続けました。そこで浮かび上がってきたのが、「推し活」や「癒やし」といった、日々の暮らしに密着したテーマです。

誰かに贈るためではなく、自分の好きなものを大切にする時間。忙しい日常の中で、少しだけ立ち止まり、自分の気持ちに目を向ける瞬間。学生たちは、そうした感覚とお花を自然につなげる方法を探っていきました。「HANA ROOM」という名前には、お花を飾る場所という意味だけでなく、自分のための居場所や時間そのものを表したいという想いが込められています。

興味深いのは、企画の中で「売れるかどうか」よりも、「届けたいかどうか」が何度も問い直されている点です。ビジネスとして成立させることは前提にしながらも、まず自分たちが納得できる形であること。その姿勢が、商品や空間づくりの随所に表れています。

こうした学生の感性に、日比谷花壇が持つ花の知識や経験が重なり合うことで、単なる若者向け企画では終わらない奥行きが生まれています。「HANA ROOM」は、Z世代の視点を起点にしながらも、世代を問わず共感できる考え方へと広がっていく可能性を感じさせます。

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