いまが「めちゃめちゃしんどい」人に読んでほしい
――ダメな人間に怒る人、その存在を面白がる人……どちらも正解ですか?
バランスだと思うんですよね。「岡田も横井も死ね!」って怒る人が1割くらいはいてほしい。だって、そういう真面目な人がいないと社会がむちゃくちゃになるんで(笑)。
あと、「こんなやつに絶対にかかわりたくない」という人が2割いて、「かかわりたくないけど、話を聞いてるぶんには面白いな」と思う人が5〜6割いて、「しゃあないから付き合うか」が1割いるみたいな。そんなバランスじゃないですかね。
みんながみんな、ダメ人間を許せとはまったく思わないし、それぞれの距離感、それぞれの感じ方でいいと思っています。

――最後に、この小説はどんな人に読んでほしいですか?
本当はすべての人に読んでほしいですけど、特に「いま置かれている状況がめちゃくちゃしんどい」と感じている人に読んでもらって、「まだいけるかも」と思ってもらえたら嬉しいですね。
僕はダメ人間にも生きていってほしいと思うけど、真っ当に生きている人、社会を支えている人は、もっと楽しく生きる社会であるべきだと思っています。だから、後輩のお父さんに言いたいのは、「岡田も横井も生きていくんで、お父さんはもっと楽しく、いまよりも楽しむ権利がありますよ」ということ。そのうえで、いろんな状態の人が一緒に生きる社会になったらいいなと思っています。
取材・文 前多勇太
【著者プロフィール】
又吉直樹(またよし・なおき)1980年大阪府寝屋川市生まれ。芸人・作家。2015年に小説デビュー作『火花』で第153回芥川賞を受賞。テレビやラジオ出演のほか、YouTubeでの動画配信など多岐にわたって活躍中。他の著書に『劇場』『人間』『東京百景』『月と散文』などがある。