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「キミとアイドルプリキュア♪」最終回 なぜ彼女たちは「みんな」ではなく「たくさんのキミ」と呼び続けたのか

「キミとアイドルプリキュア♪」最終回 なぜ彼女たちは「みんな」ではなく「たくさんのキミ」と呼び続けたのか

アイドル活動をメインにしない

 キミプリの特徴として「アイドルもの」でありながら、あくまで「プリキュア」が主体であったことが挙げられます。

 「応援」や「推し活」といった概念は描かれましたが、現代アイドル活動とは切っても切り離せない「SNSのフォロワー数」「人気ランキング」「動画の再生回数」といった要素はキミプリでは一切描かれませんでした。

 アイドルものでありながら、アイドルプリキュアの主戦場は芸能界ではなかったのです。

 アイドルプリキュアたちは、アイドルとしては順調で、化粧品のCMや大きな会場でのライブもあっさり決まります。デビューに苦悩することも、人気が伸びずに悩むこともありません。

 そういった子どもたちにストレスになるような「アイドルの葛藤」的な重いお話は描かれません。

 キミプリで描かれたのは、人と人の関係性を大切する「日常回」でした。

 蒼風なな(キュアウインク)のハチャメチャっぷりが視聴者を混乱させた第9話「ななの七不思議!」や、お相撲さん「くりきゅうた」がプリキュアになると言い出す第33話「どすこ~い!アイドルデビュー!?」、咲良うたの妹が名探偵になる第34話「名探偵はもりん!謎のメニューを追うぞな!」などといったとにかく楽しいお話が展開されます。

 と思いきや、ファンの間では神回と評判の第14話「お母さんへ~こころからのメッセージ~」、蒼風ななとザックリンの淡い感情の交差を描いた第25話「ひまわり畑でウインクして」などしっとりとした良質なお話も多数用意され、緩急を付けた「日常回」で子どもたちや大人ファンを魅了しました。

 妖精メロロンまわりでは少し重いお話もありましたが、それも中盤で解決。途中から見ても理解できるバラエティー豊かな良質なストーリーが展開されたのです。

 この「アイドル活動に主体を置かないこと」は、製作者側の当初からの思惑だったようです。

 今SDは、企画の当初から「アイドル活動がメインになってしまうのは絶対に避けたい」として「“アイドル頑張るぞ!”みたいな方向にはせず、あくまでプリキュアの日常を守る事に主題を置いた」と語っています。

今:そうですね。ただ、アイドル活動がメインになってしまうのは絶対に避けたいと、最初にお話しさせてもらいました。アイドルなのでレコーディングしたり握手会をしたりといったことはやってもいい。でも、「アイドルを頑張るぞ!」みたいな方向にすべて集約してしまわないように。

引用:徳間書店 アニメージュ2026年1月号増刊『キミとアイドルプリキュア♪』特別増刊号(P82)

 この製作者側の「ストレスフリーな作品にしたい」「プリキュアらしいプリキュアを作りたい」「全て把握しなくても楽しめるように」(特別増刊号P75)という方針の通り、複雑な設定や重苦しい葛藤などは最小限に抑え、テンポよくギャグが多めの“明るい作風”の「王道のプリキュア」感がある展開にしたことも、キミプリの人気につながっていたようです。

「キミ」との関係性を描く

 キミプリが徹底して描いたのは、画面の向こう側の「キミ」との一対一の関係性でした。

 先述のように、キミプリでは「SNSのフォロワー数」「動画の再生回数」「人気ランキング」といった「他者との比較」は一切描かれずに、プリキュアたちはあくまで「キミ」に向き合います。

 「プリキュアが守るべきもの」の象徴でもある敵組織(チョッキリ団)は「アイドル活動を邪魔するライバル」でも「アイドルのアンチ」といった存在ではなく、あくまで人々の心に宿る「キラキラな気持ち」や「悲しい気持ち」に焦点をあて怪物化します。

 「ポップコーンを落とす」「ライブのチケットを忘れる」といった日常でのちょっとした悲しい出来事が怪物となるのです。アイドルプリキュアは、そんな人々の「日常を守る」ために戦ったのです。

 キミプリでは、歌って踊るという「アイドル活動」を「不特定多数の人に向けたパフォーマンス」ではなく、「あなたの心を浄化し日常に笑顔を取り戻す」ための力として描きました。

配信元: ねとらぼ

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