
アニメ「【推しの子】第3期」(毎週水曜夜11:00-11:30ほか、TOKYO MXほかにて放送/ABEMA・ディズニープラス・FOD・Hulu・Leminoほか)の第二十七話「コンプライアンス」が1月28日に放送された。「深掘れ☆ワンチャン!!」のコスプレイヤー取材企画がSNSで炎上。ルビー(CV.伊駒ゆりえ)の持ち込み企画で火消しはできたが、その過程で描かれた二次創作への関係者それぞれのスタンスが興味深く、業界の裏の話が面白いと反響を呼んだ。(以降、ネタバレが含まれます)
■リスペクト皆無の取材で番組が炎上
コスプレイヤーが集まるイベント当日、取材協力のためにコスプレ姿で集まったルビー、寿みなみ(CV.羊宮妃那)、吉住未実(CV.平塚紗依)、メイヤ(CV.嶋村侑)の4人。AD吉住シュン(CV.竹中悠斗)が苦労の末にセッティングした場であったが、ディレクターの漆原鉄(CV.上田燿司)がメイヤに対して不躾なインタビューを行ったことが原因で番組はSNSで炎上してしまう。
この炎上騒動はルビーが持ち込んだ企画で鎮火に至ったものの、その過程では原作者、権利元(今回の場合は出版社)、製作委員会、コスプレイヤーを含む二次創作ファン、それぞれのスタンスが語られることに。送り手側、受け手側で創作物に違いはあるものの、いずれもその軸にあるのは作品へのリスペクトであり、作品を健全に盛り上げるための理想的な共生関係だった。
今回はあくまで「【推しの子】」における「東京ブレイド」での話であったが、視聴者からは、「最後のメイヤさんの言葉がすべてだよね」「儲けよりリスペクトを考えてくれる作品にこそ愛を注げる」「アニメだけじゃなくて全てに言えることなんだよ」といった共感の声が寄せられていた。
■コンプラとエンタメの問題を漆原、吉住が代弁
今話では、エピソードタイトルになっている「コンプライアンス」が注目を集めもした。その中心にいたのは前話で非難の的になった漆原だ。序盤、メイヤへの取材姿勢がやはり視聴者から非難される格好となる。昔の何でもありが面白かった時代のやり方を続ける古い仕事スタイルのテレビマン。それが漆原だが、炎上を受けての番組会議では、「今の時代コンプライアンス重視なんですよ」と訴える吉住に彼が激白。
「なんのためにネット局でやってる!」「やっちゃいけねえことだけ増え続ける世の中で、地上波でできねえギリギリを攻めるためだろうが!」「不道徳と面白さは表裏一体だ!! 言っちゃいけねえことほど面白いんだ!!!」と、怒鳴り声で一気にまくし立てる。
版権確認の甘さ、コス変更、レイヤーへの偏見はもちろんアウトだが、「規制の中でおもしれえもんを作れるやつはいいよ。だけどそんな天才はここにはいねえ」「セクハラだのコンプラだの言われるのは承知の上でやってる」と、続けてそう吐露する漆原の姿には、昭和の郷愁を感じる寂しさがあった。また、コンプラでがんじがらめになっている現在に、吉住も「配慮配慮配慮」「ここに自由なんてないんだ」と疲れ切った様で独白。
このコンプラとエンタメの問題には視聴者も数多く反応しており、「今のテレビが面白くないのはコンプラへの過剰配慮なのは否めない」「不道徳さと面白さは表裏一体って一つの正解でしょ。笑いと受け取るか否かで笑いと分からない狭量な人も問題だと思う」「でもやっぱり人を馬鹿にして笑うのはねえ…」「不快な番組は見たくない」「クズD、無能とか言ってごめんよ」など、賛否両論な意見が集まっていた。

■持ち込み企画はルビーの仕込み? 疑惑の目を向けるアクア
ルビーの持ち込んだ企画により「深掘れ☆ワンチャン!!」では今回の炎上が検証され、相手の事情にも理解を示したメイヤが矛を収める。そして最後、禊として漆原が「東京ブレイド」の自作コスで登場した。
体を張った禊で謝罪を笑いに変えたことはもちろん、原作を読み、衣装を自作したことでコスプレイヤーの苦労が分かった漆原。それで良しとしたメイヤ。全て丸く収まったが、アクア(CV.大塚剛央)は前回といい、今回といい、本当にルビーが考えた企画なのか。どこからが彼女の仕込みなのかと疑念を抱く。
スタッフ会議で鏑木プロデューサーが笑みを浮かべていたように、結果的に番組スタッフからの評価を上げたのはルビーだ。ルビーに知恵を貸しているのはやはり斉藤壱護なのか。毎話の引きの強い終わり方が、次話への興味をがぜん駆り立ててくれている。
◆文=鈴木康道


