コンテンツIP×ハードウェアの融合
今回の「Oath ONE」は、バンダイナムコエンターテインメントが持つ強力なコンテンツIPと、ソニーグループのハードウェア技術がガッチリと手を組んだプロジェクトです。
ステージ上でひときわ異彩を放っていたのが、ソニーPCLが開発したエンターテインメント向け群ロボットシステム「groovots(グルーボッツ)」。今回は約0.3m×1.3mの小型モデルに加え、約2m×2mの大型モデルが初導入されました。
これらが単なる舞台装置と違ったのは、LEDパネルを搭載したロボットたちが、まるでバックダンサーのように千早の歌に合わせて滑らかに動き、映像と音響を高精度に同期させていた点です。
特に今回導入された大型モデルは、冒頭で千早が花道を「歩いて」ファンのもとへ近づく演出を実現した立役者でもあります。無機質な機械のはずなのに、そこには確かな「意思」が感じられる――この技術的裏付けが、没入感を底上げしていました。
「如月千早」という物語の実存性
正直に告白しましょう。ゲームやアニメを一通り楽しんで来たファンである筆者も、最初は「MR(複合現実)ライブといっても、結局はCGでしょう?」と、どこか一歩引いて構えていた部分がありました。
しかし、その“壁”はライブが進行するにつれ崩れ去っていきました。
1曲目の『蒼い鳥』が始まった瞬間、そこにいたのはデータとしての千早ではなく、一人の歌手としての如月千早でした。
ブレス(息継ぎ)の音、視線の運び、歌唱中の繊細な表情変化。それらすべてが、彼女が「今、ここで生きている」ことを訴えかけてきました。
この時点ではまだ「技術の凄さ」に感心する気持ちも残っていましたが、彼女のパフォーマンスと、会場を埋め尽くす青いペンライトの海、一糸乱れぬコールが混ざり合うにつれ、冷静に観察しようという気持ちは、このライブを一緒に楽しみたいというものへと変わっていきます。
ファンが生み出す熱量と一体感が、彼女を単なる映像から、武道館に立つ「アイドル」へと昇華させていたのです。

