
恐竜が大地を支配していた約1億5000万年前、その足元には、私たちの想像以上に奇妙で多様な小動物たちが生きていました。
このほど、ポルトガルで発見された新種の両生類は、その代表例と言える存在です。
体長わずか数センチのこの動物は、現代のカメレオンのように舌を勢いよく射出して獲物を捕らえていたと考えられています。
研究者たちは、この未知の小型両生類を新属新種として記載し、恐竜時代の生態系に新たな一面を加えました。
研究の詳細は2026年1月23日付で科学雑誌『Journal of Systematic Palaeontology』に掲載されています。
目次
- ジュラ紀に生きた新種の両生類を発見
- 舌を撃ち出す狩りをしていた
ジュラ紀に生きた新種の両生類を発見
新種の両生類が発見されたのは、ポルトガル西部に広がるロウリニャン層と呼ばれる地層です。
この地域は後期ジュラ紀の恐竜化石で知られており、ロウリニャノサウルスなどの恐竜が見つかってきました。
今回注目されたのは、そうした大型恐竜ではなく、地面近くでひっそりと生きていた小さな生物です。
英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)らの国際研究チームは、数百点以上に及ぶ骨片を詳しく調べ、その多くがこれまで知られていなかった両生類に属することを突き止めました。
この新種は「ナビア・キウィスキエントリクス(Nabia civiscientrix)」 と命名されました。
【研究チームが復元した新種両生類の画像がこちら】
名前には、市民科学者として発掘に参加した地元の人々への敬意が込められています。
体長は最大でも約5センチメートルと推定され、乾燥したうろこ状の皮膚や、ケラチン質に近い爪、まぶたを備えていました。
これらの特徴は、現代の両生類とはやや異なる、独特な生態をもっていた可能性を示しています。
舌を撃ち出す狩りをしていた
この新種が特に注目される理由は、舌を勢いよく前方に射出する「発射式の舌」をもっていたと考えられている点です。
これは、現代のカメレオンに見られる捕食方法とよく似ており、小さな獲物を素早く捕らえるのに適した能力です。
新種は、アルバネルペトン科(Albanerpetontidae)と呼ばれる絶滅した両生類のグループに属します。
このグループは、中期ジュラ紀から更新世まで、1億6000万年以上にわたって存続していたと考えられていますが、その多くは断片的な化石しか残っていませんでした。
今回の研究では、マイクロCTスキャンを用いて、1ミリメートル未満の極小の骨を三次元的に解析しました。
その結果、頭骨や脊椎、骨盤などに、他の近縁種とは異なる特徴が確認され、新属新種としての記載が正当であることが示されました。
この発見は、恐竜時代の陸上生態系において、両生類がどのような多様性を持っていたのかを考えるうえで、重要な手がかりとなります。
恐竜ばかりに注目が集まりがちなジュラ紀ですが、その足元では、発射式の舌を武器にした小さなハンターが生き抜いていました。
今回の発見は、失われた両生類の進化史を埋めるだけでなく、恐竜時代の陸上生態系がいかに複雑で多様だったのかを物語っています。
今後、こうした「見過ごされてきた小さな化石」が、古代の世界像を大きく塗り替えていくのかもしれません。
参考文献
Jurassic amphibian with a projectile tongue named as a new species
https://phys.org/news/2026-01-jurassic-amphibian-projectile-tongue-species.html
元論文
New albanerpetontid species (Lissamphibia) from the Late Jurassic of Portugal
https://doi.org/10.1080/14772019.2025.2580623
ライター
千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部

