小学校を卒業すると、多くの家庭で役目を終えるランドセルがあります。
毎日背負って通った6年間は、長いようであっという間で、思い出が詰まっているからこそ、簡単には手放せない存在でもあります。
そんなランドセルが、もう一度、誰かの背中で新しい時間を刻んでいるとしたら。
そう想像すると、その先にどんな物語が生まれているのか、少し気になってきます。
新潟県十日町市のリゾートホテル、あてま高原リゾート ベルナティオでは、そんな想いを形にする取り組みとして国際協力NGOジョイセフが主催するランドセル寄付活動に賛同し、「笑顔でつなぐランドセルプロジェクト」を続けています。
日本で役目を終えたランドセルを、貧しくて学校に通うことが難しいアフガニスタンの子どもたちへ届けるこの活動にベルナティオは2019年から参加し、今年で8年目を迎えます。
一度きりの支援ではなく、静かに、そして着実に続いてきた点が、この取り組みの大きな特徴です。
ランドセルが届くまでの長い旅路、その先で生まれる小さな変化、そして、なぜこのホテルが活動を続けているのか。
モノを贈るだけでは終わらない、このプロジェクトの背景に目を向けてみたいと思います。
なぜベルナティオはランドセルを寄付し続けているのか

「ホテルがランドセルを海外に寄付する」。
一見すると、少し意外な組み合わせに感じるかもしれません。
しかし、この取り組みが8年という時間をかけて続いてきた背景には、単なる支援活動以上の理由があります。
あてま高原リゾート ベルナティオがこの活動を始めたのは2019年です。
きっかけは、使い終えたランドセルが家庭の中で役目を終えていく一方で、世界には学校に通いたくても環境が整わない子どもたちが多くいるという現実でした。
「まだ使えるものを、次の学びにつなげられないか」。
その問いから、このプロジェクトは静かに始まっています。

特徴的なのは、単発の取り組みで終わらせなかった点です。
毎年続けることで、ランドセルを預ける側にも、受け取る側にも、少しずつ変化が生まれてきました。
現地NGOのスタッフが撮影した写真やメッセージが、ジョイセフを通じて共有されるようになり、取り組みの実感が積み重なっていったといいます。
また近年では、ご宿泊されるお客さま以外に、地元や県外の学校からも、ランドセルを寄付したいという声が寄せられるようになりました。
誰かの善意が、次の誰かの行動を生み、少しずつ輪が広がっていく。
8年という年月は、その積み重ねの結果でもあります。
ベルナティオが大切にしているのは、「支援をすること」そのものではなく、「続けること」です。
続けるからこそ、相手の状況を知り、改善点に気づき、より良い形へと少しずつ近づいていくことができます。
ランドセルを通じたこの活動には、そんな姿勢が一貫して感じられます。
ランドセルの旅 ホテルから子どもたちの手へ

このプロジェクトでは、ランドセルが預けられた瞬間がゴールではありません。
むしろ、そこからが長い旅の始まりです。
使い終えたランドセルは、宿泊の際にあてま高原リゾート ベルナティオへ直接持ち込まれます。
郵送ではなく、顔の見える形で預かるという点にも、この活動の丁寧さが表れています。
集まったランドセルは、すぐに海外へ送られるわけではありません。
まずは状態の確認や検品が行われ、その後、国際協力NGOジョイセフを通じて海外輸送の準備が進められます。
ランドセル一つひとつに、次に使う子どもたちのことを思い浮かべながら手が加えられていきます。

日本を出発したランドセルは、横浜港から船に乗り、海を越えます。
船を降りたあとは、さらに陸路での移動が続きます。
舗装されていない道や、車が入れない場所では、人の手によって運ばれることもあります。
こうして、日本を出てから子どもたちのもとへ届くまでには、およそ2か月ほどの時間がかかります。

現地に到着したランドセルは、学校で先生から使い方の説明を受けたうえで、一人ひとりに配付されます。
その様子は、現地NGOのスタッフによって写真に収められ、ジョイセフを通じて共有されています。
遠く離れた場所で、ランドセルが新しい持ち主の手に渡る瞬間が、こうした形で伝えられているのです。
長い距離と時間をかけて届けられるからこそ、このランドセルには、日本で過ごした6年間とはまた違う、新しい役割が生まれています。
単なる物資ではなく、「学びへ向かう合図」として、次の場所で静かに使われ続けていきます。
