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『ガンダム 閃光のハサウェイ』2部 壊れた主人公が挑むのは「不可能な正義」の実現なのか?

『ガンダム 閃光のハサウェイ』2部 壊れた主人公が挑むのは「不可能な正義」の実現なのか?


ハサウェイはさまざまな苦悩を抱えながら、マフティーのリーダーとして戦いを主導する  (C)創通・サンライズ

【画像】「えっ」「全編出続けるのか」これが『ハサウェイ』第2部でもっとも露出度の高い登場時人物です(4枚)

待望の「第2部」だが、主人公の「正義」には疑問符が

 2026年1月30日(金)、第一部から約5年ぶりの続編となる『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』が公開されます。ブライト・ノアの息子である「ハサウェイ・ノア」が腐敗した地球連邦政府と戦う姿が描かれますが、PVには「揺らいだ正義」と記されています。腐敗に対しテロリズムで対抗するのは、本当に正しいのでしょうか?

『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』で描かれた「シャアの反乱」で、ハサウェイはアムロとシャアの戦いを見届け、サイコフレームが起こした奇跡を目撃しました。しかし、戦闘のなかで初恋の少女であるクェス・パラヤを失い、錯乱して味方のチェーン・アギを殺害してしまったハサウェイの心は救われることがなく、重度の鬱病を患ったあげく洗脳されてテロリストと化してしまったのです。

 監督の村瀬修功氏は、ハサウェイを「感情と思想に引き裂かれているキャラクター」と評しており、すでに壊れた人間だとも語っています。前作にあたる第一部『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』でも、その片りんをのぞかせており、ハウンゼン(冒頭に登場した航空機)ハイジャック事件の宣誓供述書に記されたハサウェイのサインの文字は、壊れた人間の演出としてふさわしいものとなっていました。

 世界を支配する権力と暴力に対抗するために、テロリストとなる。これは現実世界にもあることです。法に守られた悪を倒すためには、どうしても法を破らねばならない局面があります。

 悪をもって悪を制す。どちらの悪も「自分は正義」と考えているわけですが、この構図は社会が煮詰まった状態ではしばしば登場し、さらなる災厄を招くということを、歴史が証明しています。

※ここから先の内容は、公開予定の映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』の内容に関わる原作小説の内容に触れていますので、ご注意ください。


地球連邦軍の大佐としてマフティーとの戦いを指揮する、ケネス・スレッグは、組織の腐敗に嫌悪感を示しながら、自らもギギの能力を戦いに活かそうとするしたたかさを持つ (C)創通・サンライズ

腐った組織の「悪癖」を解決する方法とは?

「自分は正義なのだから、何をしても許される」……これは人が陥りがちな過ちです。清廉な思想は悪辣な行動を正当化する理由にはなりません。おそらく「キルケーの魔女」の原作にあたる小説、富野由悠季氏による『閃光のハサウェイ 中巻』には、正義に巻き込まれて膨大な数の人間が命を失うシーンがあります。その光景を作り出したのは地球連邦軍ですが、犠牲となったのはハサウェイたちの行動に引き寄せられた人間たちでもあります。

 予期せぬおびただしい犠牲を出しながら、テロ行為を続けることは果たして正義なのか。劇場版ではこうした悲劇がどのように描かれ、ハサウェイはどのような反応を見せるのか。興味深いポイントです。

 いずれにせよ、「人類の革新」とされたニュータイプが普通の人より多くのものを理解できてしまう苦しさから逃れるためには、世捨て人になるか、戦い続けるしかありません。戦いを選択したハサウェイには最新のΞ(クスィー)ガンダムがあり、「マフティー」という組織があるとしても、地球連邦軍に比べれば微々たるものなのは明らかで、残念ながら行く末は決まったようなものです。

『閃光のハサウェイ 中巻』(1990年版)でブライト・ノアは、組織がうみだす悪癖の解決策は、すべての人が清廉潔白になるしかないと結論付けています。つまり不可能だということです。

 ニュータイプがただの人として生きるのは、『機動新世紀ガンダムX』のように、完全に世界が崩壊した後の、明日を夢見て多くの人びとが再び立ち上がった世界くらいしかないのかもしれません。

 ただ、あくまでこれは小説で描かれた物語から考えられる未来の姿に過ぎません。厳しい結末が予想されるとしても、ハサウェイが夢中になるヒロインのギギ・アンダルシアをはじめとする登場人物や、最新のメカたちが美麗な映像として立ち上がり、躍動する姿を、見てみたいと思う人は多いでしょう。劇場アニメ第2部が描く「揺らいだ正義」とその未来を、小説では得られない新しい体験として見届けたいと思います。

配信元: マグミクス

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