物語と説明文は、使い分けが大切
物語読書の有用性を強調する話が続きました。しかし、物語と説明文は、どちらかが形式としてより優れている、というものではありません。
純粋に知識として「幅広い事柄」を知りたい場合には、明らかに説明文のほうが効率的でしょう。だから学校のさまざまな科目の教科書は説明文が多いのです。
また、物語による理解は、どうしても登場人物の視点や価値観に影響されてしまいます。そうした特定の視点や価値観を持たずに理解することが、広い応用可能性につながる場合もあります。
大学で学ぶ抽象的で複雑な内容などは、その例でしょう。
両方の形式を使うのも有効です。
例えば、歴史の内容を教科書(説明文)で学んだあと、歴史小説(物語)を読んでみることで、その時代のことを「事実」と「実感」の双方で理解することができます。
説明文が多いながらも、物語調で歴史を学ばせてくれる「マンガ世界の歴史」といったものも各社から出版されていますね。
物語と説明文は、互いに補完的なものであり、あるときは説明文のほうがいい、別のときは物語のほうがいい、というように、使い分けることが大切だといえます。
*1 犬塚美輪.(2025). 読めば分かるは当たり前?―読解力の認知心理学. 筑摩書房.
*2 柳瀬陽介.(2018).なぜ物語は実践研究にとって重要なのか:読者・利用者による一般化可能性. 言語文化教育研究, 16, 12-32.
*3 Koopman, E. M. E.(2015). Empathic reactions after reading: The role of genre,
personal factors and affective responses. Poetics, 50, 62-79.
文/猪原敬介
『科学的根拠(エビデンス)が教える 子どもの「すごい読書」』日経BP
猪原敬介
2026/1/81980円(税込)336ページISBN: 978-4296002450本を味方にすると、子どもの人生は豊かになる!! 本が好きな子にも、ちょっと苦手な子にも。 本を読めば、将来、直面する「壁」や「迷い」を乗り越えやすくなる。 本の効果は、「頭がよくなる」だけではありません。 探究心・知的好奇心・思いやり・友達や周囲の大人とのコミュニケーション力…読書の効果を無理なくいいとこ取りするための、科学的根拠が教える読書法‼ ◎本は「3冊同時に買う」と、読書家への扉が開きやすくなる ◎まずは「表紙が見えるように家に飾り、飾る本を定期的に替える」ことから ◎飛ばし読み・途中でやめても問題なし! 「ちゃんと読ませる」よりも「本について一緒に話す」時間をとる ◎1冊プレゼントするなら「この子には少し簡単かな」という本に ◎読むのが遅い・集中力がない・自分で本を選べない……を解決するには? ◎なぜ「1日30分まで」の読書が、もっとも「能力を伸ばす」のか 3歳から15歳までの考える力・学力・共感力・生きる力を伸ばす読書術!!
