新年早々、秋葉原の路上に散乱するゴミが話題となった。清掃ボランティアが集まる一方、SNSでは原因をめぐってさまざまな意見が飛び交っている。都市部のゴミ問題に解決策はあるのだろうか。
年始から秋葉原がゴミだらけ
日本、特に都心部における路上ゴミ問題は、ここ数年で深刻さを増している。その現状を象徴する出来事のひとつが、年始の秋葉原で起きていた。
正月三が日の秋葉原。朝から福袋を求める人々でごった返し、日本有数の観光地としての熱気に包まれていた。その一方で、路上の一角にはゴミ袋や食べ捨てられた飲食物の容器が積み上がる。植え込みの中や歩道の隅など、本来ゴミを捨てる場所ではないところにゴミが散乱していた。
この状況に声を上げたのが、秋葉原駅前でインフォメーション業務を担う「秋葉原駅前インフォメーション(通称・秋葉原案内所)」だった。
案内所の公式Xは年始に、「駅前周辺の掃除をお手伝いして頂ける方いらっしゃいますでしょうか」「あまりにもひどいのですが、1人で掃除できる量ではありません」と投稿。清掃ボランティアを募る呼びかけは瞬く間に拡散され、現場に有志が集まった。
投稿とともに共有された写真には、路上に散乱したたくさんのゴミが写っており、その光景は多くの人に衝撃を与えた。SNS上には、
「どういうつもりで、こんな大量に捨てていくのか理解できない」
「千代田区さん、本気で対策しないと秋葉原が廃れていく」
「外国人観光客が増えたからか 日本人の民度が下がったのか 街に確実にゴミが増えている」
といった声が相次いだ。
秋葉原案内所が清掃活動を始めたのは、今回が初めてではない。実は約1年前から、有志による清掃を継続してきた。
活動のきっかけは、駅近くの喫煙所周辺に散乱していた大量のタバコの吸い殻だ。
「ゴミが散乱する秋葉原の現状をXで発信すると反響はありましたが、伝えるだけでは何も変わらないと感じました。そこで、業務の合間を見てスタッフと一緒に清掃を始めたのが最初です」(秋葉原案内所担当者、以下同)
清掃を続けるうちに、通行人や近隣店舗から声をかけられたり、飲み物の差し入れを受けたりすることも増えていった。そんなとき、「こちらから声をかければ、一緒に参加してくれる人がいるのではないかと思い至りました」という。
ゴミ捨て場が撤去されていく理由
昨年5月に行なわれた神田明神の「神田祭」ではXでボランティアを募ったところ、わずか1週間前の呼びかけで約70人が参加。以降、清掃活動は定期的に行なわれるようになったという。
こうした清掃活動を通じて、街の状況を日常的に見続けてきた秋葉原案内所は、ゴミ問題が話題になるたびにSNSで浮上する「外国人観光客の増加が原因ではないか」という見方には、疑問を投げかけている。
「秋葉原に関して言えば、日本人か外国人かで、汚れ方に大きな違いは感じていません。同じ人数が集まれば、同じようにゴミは増えます」
では、なぜここ数年で、これほどまでにゴミが目立つようになったのか。案内所が指摘する要因のひとつが、街のインフラの変化だ。
ここ2年ほどの間に、民間の喫煙所が3店舗閉業。さらに、以前は多くの飲料自動販売機に設置されていたリサイクルボックスも、使用停止や撤去が相次いだという。
喫煙所が姿を消した理由の一つは、現実的な費用の問題だ。
「街の喫煙所の元オーナーの方に伺うと、単純に採算が合わない。タバコの売上、区の補助金、メーカー広告をすべて足しても、家賃と利益を両立させるのは難しいとのことでした」
リサイクルボックスについての事情はさらにシンプル。使用する人のマナーの悪さだ。飲料容器専用であるはずのボックスに家庭ゴミや飲食ゴミが投げ込まれ、満杯になると周囲にゴミが溢れてしまうという。
ゴミ箱の少なさは秋葉原だけではなく、都内全体に指摘されているが、おそらくどこも同じような問題を抱えているのだろう。
では、行政はこの問題にどう向き合っているのか。
正月の清掃では、千代田区の樋口高顕区長が自身で軽ダンプに乗り、職員とともにゴミ回収にあたった。
区長によると、秋葉原でのゴミの散乱は、飲食店などが出した回収業者向けのゴミ袋が放置されることで、「ここはゴミ捨て場だ」と誤認した来街者がさらにゴミを置いていく“連鎖”が起きていることが原因だという。
業者は契約対象のゴミ袋しか回収しないため、上に積まれたポイ捨てゴミだけが残り、結果として街にゴミが滞留してしまうのだ。

