
その煽りをもっとも大きく受けることになったのは、初登場No. 1を獲得したクリス・プラット主演最新作『MERCY/マーシー AI裁判』(日本公開中)だろう。3468館で公開され、初日から3日間の興収は1080万ドル。ここ10年ほどのプラットの出演作はほとんどが超大作のため比較対象を見つけるのは難しいが、同じぐらいの制作費(6000万ドル)だったアニメ映画『ねこのガーフィールド』(24)が4000館超でオープニング興収2400万ドル。ざっとその半分ぐらいということになる。
また、1億ドル前後の制作費で北米累計興収も1億ドルに到達した『パッセンジャーズ』(16)のオープニング興収との対比では73%。これらを勘案すると、想像以上に厳しい戦いを強いられそう。批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば、批評家からの好意的評価の割合が24%と辛辣なのに対し、観客からの反応は同82%と上々。やはり寒波の影響が過ぎ去らない限り、この作品の純粋な成否を判断するのは酷かもしれない。

さて、先日ノミネーションが発表された第98回アカデミー賞の関連作にも影響がちらほら。作品賞など8部門にノミネートされたクロエ・ジャオの『ハムネット』(4月10日日本公開)は、上映館を前週の718館から1996館まで増やしたことでトップ10への返り咲きを果たしたが、週末3日間興収は前週比137.5%。ティモシー・シャラメ主演の『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』(3月13日日本公開)は前週比63.8%の興収と、通常通りの下降傾向に。
他にも、12部門13ノミネートの『ワン・バトル・アフター・アナザー』(25)や、作品賞と国際長編映画賞のWノミネートをはじめ複数部門に候補入りを果たした『シークレット・エージェント』(2026年日本公開)と『センチメンタル・バリュー』(2月20日日本公開)などが上映館を増やしているが、いずれも興収面での飛躍はまずまず。『センチメンタル・バリュー』だけは上映館数の増加に対して興収の増加が大きく見える。

一方、アカデミー賞の候補入りを想定してこの週末から上映館を増やしたものの、ノミネートに至らなかった作品も。そのひとつ、『アン・リー/はじまりの物語』(夏日本公開)は、上映館拡大の効果のみで前週比158%の興収を記録。そして『ウィキッド 永遠の約束』(3月6日日本公開)は、前週から上映館を倍増させたが興収は半減。すでに北米累計興収3億4000万ドルを超えているとはいえ、オスカー効果を得られないとなれば、これ以上の増加は難しいところだろう。
文/久保田 和馬
