ケースだけでも録音可能なのがユニーク
もうひとつユニークなのが、ケースでも録音できること。

会議などで、イヤフォンをするのは感じが悪い……というような時でも、ケースだけを机上に置いて、そのケースから録音することができる。たとえば、インタビューのような状況であれば、ケースをインタビュイー(インタビューされる側)の方に置いておけば、良い音で取れるはずだ。エラーの少ない文字起こしをするためには、まず良い音で取ることは大切。
ただ、もともと、iPhoneのマイクがノイズキャンセリングを含めて非常に良くできているので、これら周辺機器のマイクでそれを超えるのが難しいという問題もある。そのあたりはまだ試せていないが、今後確認していきたいと思っている。接続の手間がかかるのに、iPhoneの方が音がいい、では意味がない。
録音動作中なのが、明示的でないのが不安
現在の使用感としては、オンラインでのビデオ会議の録音・文字起こしデバイスとしては、それなりに便利で、特にスピーカーから音を出せない状況での会議が多く、それを文字起こししたい人にとっては便利なデバイスだといえるだろう。
しかし、不満がないわけではない。
一番の不満は、録音していることが明示的でないことだ。
筆者は30年間取材している中で、何度も録音が止まっており、インタビューをしたのにデータがないという事態に陥って冷や汗をかいたことがある。だから、「ちゃんと録音されているか?」というのは常に気になることだ。
重要な人物のインタビューになればなるほど、相手との会話、快適に話をしてもらえているか、意図せず怒らせていないか……などに神経を遣うことになる。つまり録音デバイスが正常に動いているかどうかに気を使う余裕がなくなってくる。そして、そういう人物の録音こそ、失敗していたら大変なことなる。
古いカセットテープが良かったのは、『ガチャン』と押すボタンがあり、視覚的に窓からテープが回っているのが見えて、キーキーとわずかな動作音がしたりして、録音していることをさりげなく伝えてくれる。
本機の場合、イヤフォンのタッチパネルか、ケースのボタンを2秒間長押しすると録音が始まるが、正常に録音されているか知る術はハードウェア的には存在しない。イヤフォンにはLEDがあるが装着している当人には見えないし、ケースのLEDも小さなもので観察するのは難しい。つまり、アプリを開いて文字起こしされているかを確認するしかない。

しかし、筆者の用途の場合、VIPのインタビューになるほど、それを確認する余裕はない。だから、小さいディスプレイが付いていて、録音中であることを明示的に表示してくれるとか(たくさんのデバイスを使ってると、LEDの明滅や色が何を表しているかなど覚えてられない)そういう手立てを講じて欲しい。
文字起しをしてくれるのはありがたいが、取材文字起しに限って言えば、確実に録音されていること、それを確認できることが大切なのだ。
あと、イヤフォン形状なので、音楽も聴けると期待する人もいるかもしれないが、音楽を楽しめるめる音質ではない。おそらく、声を明確にはっきり聴けるようにチューニングされているのだと思うが、ちょっと高くてカシャカシャした音だ。音楽を楽しむのには向いていない。