
「今年のW杯も狙っている」U-23アジア杯優勝貢献の市原吏音が明かした欧州挑戦への想い。なぜオランダ行きを選んだ? “大宮への感謝”を胸に次の舞台へ
どんな道を選んでも、今までとは比べられない困難が待っているはず。だが、その険しい道に挑戦することでしか、さらなる経験値は得られない。それが自身の成長につながる。先にあるA代表のワールドカップやロサンゼルス五輪を目ざすべく、新たな一歩を踏み出す。
U-23アジアカップでU-23日本代表(実質、ロス五輪世代のU-21代表)のキャプテンを務め、優勝に大きく貢献したDF市原吏音のオランダリーグ1部・AZへの完全移籍が決まった。
大宮でのトップデビューから3年。2023年シーズンの後半戦は、高校3年生ながらCBでレギュラーの座を勝ち取り、プロ契約を結んだ翌シーズンからは19歳ながら副キャプテンを務めた。同年、リーダーシップに優れた万能型のCBとして存在感を発揮し、J2復帰の立役者に。昨季はJ1昇格プレーオフ1回戦で惜しくも敗れ、悲願のJ1復帰にチームを導けなかったが、さらなる飛躍を予感させるパフォーマンスだった。
とにかく明るい性格で、誰からも愛されるキャラクター。同年代の仲間に対しても周りを巻き込む力があり、そうした天性のリーダーシップが評価されて、世代別代表でも主将を任されてきた。
U-23アジア杯だけではなく、昨秋に開催されたU-20W杯を戦ったチームでも一次予選にあたる一昨年9月のU-20アジア杯予選から一貫してキャプテンマークを託されてきた。
笑顔が絶えず、どんなに苦しくても下を向かない。仲間に勇気を与えられる存在であり、その姿はまさに“ヒーロー”。「優勝させるのが僕のタスク」とU-23アジア杯優勝直後のミックスゾーンで言い切ったように、そうした言葉をさらりと言いのけてしまうあたりにも天性のリーダー性を感じさせた。
28年夏のロサンゼルス五輪でも主軸としての活躍が期待されるなかで、市原は今冬のオフに大きな決断を下す。それが海外移籍だった。
もともと海外思考は強く、移籍の可能性を模索していた。昨季もステップアップの選択肢があったが、国内移籍は封印。お世話になったクラブへの想いもあり、慣れ親しんだクラブから直接海を渡ることを求めていた。
「ここまで育ててくれた大宮アルディージャには感謝しかない。アルディージャの選手として恥じないようなプレーヤーになりたいし、日の丸をつけた姿をもう1回見せられるように頑張りたい」
大宮から世界へ。その想いを持ち続けていたなかで、決め手になったのは昨秋のU-20W杯だった。
グループステージは3戦全勝で首位通過を果たしたなか、ベスト16で敗退。圧倒的に押し込みながらも決定力不足に泣いたノックアウトステージ初戦のフランス戦(0−1)は、延長後半終了間際の失点で敗れ、試合後は悔しさを噛み締めた。「こんなにもったいない負け方はない」(市原)。そう振り返ったように、フランス戦の出来事は大きかった。
世界の猛者たちと戦ってきた体験が、成長への欲を強くする。市原は移籍を決断した理由をこう明かす。
「ワールドカップが大きかった。ワールドカップを通して、世界でやりたいと思わされた。やっぱり、自分はそんなに若くないので。世界で見ると若くないという気持ちがある。今行きたいって思ったし、自分を必要としてくれるチームがあるのであれば、という想いがあった」
ただ、簡単な決断ではない。「タイミング的に今がいいのか、半年後、1年後がいいのか、もっと前が良かったのか。そういうところでめちゃくちゃ悩みました」。そう話した市原は珍しく表情をこわばらせ、慎重に時期を見極めていたことをうかがわせた。
そして、ほかのリーグも含めて幾つかの選択肢があったなかで、選んだのがオランダリーグ1部のAZだった。「最初からずっと自分を欲しいって言ってくれていた」(市原)という熱意がポイントになったのはもちろん、馴染みやすい環境も背中を押した。
「AZには毎熊(晟矢)さんもいて、オランダリーグ自体も日本人が多いリーグ。住みやすい環境もあるので、全てにおいて最初の世界挑戦という意味では良い場所だと思った」
24年1月に開催されたA代表のアジアカップにトレーニングパートナーとして参加した際、毎熊とプレーする機会を得ている。そうした知った顔がいる点は、新たな挑戦をスタートさせるうえで心強い。
高校時代から英語は得意で、苦手意識はない。合流後、仲間と関係性を構築する必要はあるが、天性のコミュニケーション能力があれば、溶け込むまでに時間はかからないだろう。
五輪出場はもちろん、「滑り込みで今年のワールドカップも狙っている」と言い切ったロス五輪世代のリーダーに迷いはない。全ての可能性を信じ、自分の足で未来を切り拓く。
取材・文●松尾祐希(サッカーライター)
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