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「もうお金はないです」20年前、ロト6で3億2000万円当てた男は今…当選後も会社を辞めなかった男が定年後に気づいた“本当の自由”

「もうお金はないです」20年前、ロト6で3億2000万円当てた男は今…当選後も会社を辞めなかった男が定年後に気づいた“本当の自由”

「2000万円だけ口座から下ろして、部屋に敷き詰めました」2005年、ロト6で1等・3億2038万円が当選した久慈六郎さん。当時は月給27万円の平凡なサラリーマンだったが、夜の街での散財や怪しい投資話にひっかかり、当選金はあっという間に失ってしまった。あれから20年、一度は億万長者になった男の現在地を追った。(前後編の前編)

「2000万円だけ口座から下ろして部屋に敷き詰めた」

2005年1月13日、平凡なサラリーマンだった久慈六郎さんは、ロト6で1等・3億2038万円の高額当選を果たした。当時38歳、給料は月27万円、楽しみといえば月に1度のキャバクラ通い程度の暮らしだったという。

だが、突然の大金は暮らしを一変させた。

「最初は全額口座から下ろして、部屋に敷き詰めてみようかと思ったんですけど、それはやめて2千万円だけ下ろして敷き詰めました」

根が貧乏性で、突然、手にしたあぶく銭の使い方が思いつかず、「最初はとりあえず札束を眺めてた」という久慈さんだったが、そのうち歓楽街で“夜のパトロール”するようになり、外国人パブや高級クラブで散財。

「月に1回のキャバクラ通いが楽しみ」だった男が、気づけばシャンパンタワーに興じていた。(当時の詳細は#1、#2を参照)

さらに日常生活の変化を綴った匿名ブログが人気を呼び、2006年に書籍化。反町隆史主演でテレビドラマ化されるなど、一躍脚光を浴びた。

だが、繁華街や夜の街での浪費、株やFXへの投資、さらにはオネーチャンにも何度も騙されて資金がみるみる減少。気づけば、当選金はスッカラカンに…。

そんな久慈さんだが、当選後もやめなかったことがある。それは会社だ。ともすれば大金を手にした瞬間、多くの人が思い描くのは、「即座に会社を辞め、悠々自適の生活へ」という王道のシナリオだろう。

だが久慈さんは、当選後も約20年間会社員として働き続け、昨年、定年退職を迎えた。

定年後の生活について尋ねると、久慈さんはあっさりと言う。

「もう管理される人もいませんし、起きる時間も寝る時間も何時でもいいんです。会社員時代は、時間に縛られているつもりはなくても、やっぱり縛られていたんだなと思いますね。今はその縛りがないだけで、気持ちがずいぶん軽くなりました」

ブログを読むと、その生活は実に整っている。規則正しく、健康的で、無駄がない。ミニマリスト的な印象すら受ける。そう伝えると、久慈さんは少し考えるように続けた。

「たしかに昔より欲が減ってきたと思います。お金がいっぱい欲しいとか、あれが欲しいこれが欲しいっていうのが、だんだん薄れてきた感じですね。若い頃は欲があるのが普通だと思うんですけど、今は“これがなくても平気だな”と思うことが増えました」

それは、一度大金を手にした経験と無関係ではないという。

「お金を手に入れた年齢やタイミングって、すごく大きいと思うんです。今の60歳で同じだけのお金があったとしても、昔みたいに豪遊したり、豪華な旅行に行ったりということには、たぶん使わないでしょうね。若い時は勢いもありますし、周りも見えなくなりますから」

会社を辞めてみて初めて気づいたこと

そんな久慈さんは今、どんな毎日を過ごしているのか。

「この前もタイから帰ってきたところで、旅行中に撮り溜めた動画をYouTubeにアップしたり、noteに記事を書いたりしています。旅行で感じたこととか、思ったことを、自分の足跡みたいに少しずつネットに残していこうかなと。別に誰かに褒められたいとかじゃなくて、自分の中で“生きた証”を残したいんですよね」

会社員時代と今で、最も変わったことは「心の余裕」だという。

「やっぱり心に余裕があります。やりたいことはやれる、っていうのが大きいですかね。会社員生活だとミッションがあって、それをこなしていく毎日でした。もちろんそれはそれで意味があったんですけど、今は自分の裁量で“今日はこれをやろう”と決めて、淡々と好きなようにやっている感じです。誰に急かされることもないですし、焦らなくていい」

会社を辞めてみて初めて気づいたことがある。

「会社員時代は、自分ではストレスはないと思っていたんですよ。やりたいようにやらせてもらっていたつもりでもあって。でも辞めてみて初めて、“あ、実はかなり抱えてたんだな”って。目に見えないストレスって、あるんですよね」

具体的には何がストレスだったのか。

「やっぱり人間関係ですね。会社にいれば上司もいますし、社外のお客さんもいます。そういう人たちに対して、それなりのアウトプットを出さないといけない。

気遣いも必要だし、納期もあるし、ちゃんとしたものを出し続けなきゃいけない。そのプレッシャーは日々あったんだなと思います。辞めて全部なくなって、今はほぼノーストレスです」

ロト6が当たったのは38歳の頃だった。一般的には、その瞬間に会社を去る人もいるだろう。だが久慈さんは働き続けた。理由を尋ねると、現実的な事情が次々と出てくる。

「当時勤めていたのは少人数の会社で、自分が抜けると会社の運営が回らなくなるくらい影響が大きかったんです。だから“辞めます”って簡単に言える感じではなかった。仮に言っても、そう簡単には辞めさせてもらえなかったような気も(苦笑)。仕事も詰めに詰めさせられていて、辞められる立場じゃなかったですね」

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