
【ザスパ社長・細貝萌の生き様】名将・山田耕介のGM招聘は「じっくりと時間をかけて進めてきたこと」。強化体制の充実に自信
2月8日のアウェーSC相模原戦を皮切りに、明治安田J2・J3百年構想リーグの戦いをスタートさせるザスパ群馬。相模原戦の後、2月はヴァンラーレ八戸、モンテディオ山形、ブラウブリッツ秋田とホームで戦う。
本拠地の正田醤油スタジアム群馬にJ2勢を迎えるということで、沖田優監督が昨季から積み上げてきたサッカーがどこまで通用するのか興味深いところ。ここで良い結果が出れば、チーム全体に弾みがつくはず。好ゲームを期待したいものである。
その群馬だが、2月1日付で重要な人事異動があった。ジェネラルマネージャー(GM)を兼務していた細貝萌社長がGMを退任。新たに前橋育英高校の山田耕介監督がその職に就いたのである。
ご存じの通り、山田新GMは高校サッカー選手権で前橋育英を二度、優勝に導くなど輝かしい実績を残してきた名将。細貝社長の高校時代の恩師でもあり、以前から群馬の取締役にも名を連ねていた。
ある意味、群馬サッカー界の重鎮とも言える人物がクラブ強化により深く関わるというのは、非常に大きな出来事と見ていいだろう。
「2月12日に記者会見を予定しており、詳細はそこでお話ししますが、山田耕介GMへのオファーはここ1~2か月の話ではなく、僕がこの立場になってからじっくりと時間をかけて進めてきたことです。
山田GMの影響が群馬県内のみならず、全国の高校サッカー界にとって非常に大きいのは周知の事実。そういう方にザスパ群馬のフットボールをしっかりと見てほしいと、僕はずっと前から考えていました。それが今回、実現したことで、チームが良い方向に向かっていくのは間違いないと思います」と細貝社長は強調する。
山田新GMは現在、前橋育英の学監という立場にいるが、66歳になり、教育現場からJリーグクラブへ移って新たな一歩を踏み出す時期だと判断したのかもしれない。2026/27シーズンが開幕する夏までは高校生の指導にも携わる模様だが、そこからはクラブの仕事に向き合っていくことになりそうだ。
「多くの関係者の方の協力もあり、今回、GM就任が実現しました。僕は心から感謝していますし、山田GMにはトップチームのみならず、アカデミーの基盤強化にも力を注いでほしいと希望しています。
アカデミー強化の重要性は社長就任時からずっと言い続けていることですけど、山田GMのGM就任と同じタイミングで、永井雄一郎さんにアカデミーダイレクター兼U-18監督に就任していただいた。永井さんはご存じの通り、僕の浦和レッズ時代の先輩で、日本代表経験もある人。2025年1月にS級(現Pro)ライセンスを取得したトップ指導者です。
あれほどのキャリアを持つ人ですから、いろんなオファーがあったと思いますけど、今回、群馬に拠点を移して本腰を入れてアカデミーのテコ入れに携わってくれることになりました。優れた人材を確保できて、体制整備も進んでいくと前向きに捉えています」と、細貝社長は2人のキーマン加入に自信を見せる。
群馬の練習拠点・GCCザスパークには天然芝ピッチ2面、人工芝ピッチ1面、人工芝フットサルコート3面があり、トップのみならず育成年代がしっかり活動できる環境が整っている。これまでアカデミーの寮はなかったが、今後整備し、食育もできるような体制も整えていくという。
山田新GM、永井アカデミーダイレクターの助言があれば、より良い方向に進んでいくのは間違いない。「自前の選手を育て、戦力にし、移籍金を稼ぐ」といった欧州クラブが当たり前にやっていることも近い将来、できるようになるはず。それは長くドイツやトルコでプレーしてきた細貝社長の大きな目標でもあるのだ。
「山田GMが来てくれたことで、強化体制もより充実したものになると思います。山田GMの下に、強化部長の佐藤正美さんがいて、元選手の光永祐也、北川柊斗という2人の強化担当がいるのが、今の体制です。
僕はGMを退いたので、『強化部所属』ではなくなりましたが、自分の強みは元選手という点。現場に寄り添っていくスタンスはこれからも変わりません。自分も加えて“4.5人体制”になったと考えてもらってもいいかもしれません。
僕は経営面や営業面など社長としての仕事の比重が高くなるので、強化部のミーティングに毎回出ることはできなくなりますけど、レポートを作成してもらって、それを必ずチェックする形にしていますし、常に現場のことは把握できるようにしていきます」と、細貝社長もこれまでと変わらず現場に近い距離感で動いていくという。
強化4~5人体制というのは、J3のクラブの中では潤沢なように見えるが、細貝社長が現役時代を過ごした浦和レッズや柏レイソル、欧州のレバークーゼンやヘルタ・ベルリンなどに比べると、まだまだ脆弱。それは認めざるを得ない事実だ。
「J1クラブであれば、大学生や高校生のトップ選手をチェックして声をかければいいですけど、J3だとそういうわけにはいかない。群馬のスタイルに合いそうで、伸びしろのありそうな選手に着目し、動画をみんなで分析して接触していく作業になるので、業務量も多くなります。
それに加えて、選手のサポートもしなければいけなくなる。日本人の新戦力はもちろんのこと、外国人選手のビザ取得や家探しなども手伝わなければいけなくなります。僕がタイのブリーラム・ユナイテッドやバンコク・ユナイテッドに移籍した時は、ビザ取得のためのサポートスタッフが同行して役所に行ってくれましたし、欧州でもそう。強化部の人と一緒に行くなんて言うことはなかったです。
それだけ強化部の仕事は多岐にわたるので、4.5人ではまだまだ足りないですけど、今はできることをやっていくしかない。今後、人を増やせるように経営規模を拡大していければいいですね」と、細貝社長はここから成長曲線を引き上げていく構えだ。
百年構想リーグとシーズン移行という大きな出来事のある2026年を、その重要な一歩にしたいところ。社長2年目ということで、より経営者としての手腕も引き上げていくべきだろう。
「就任1年目の昨年はただただ走って、いろんなことにトライしてきましたけど、今年は少しずつ形にしていきたい。山田GMや永井さんに来ていただいたのはその1つですけど、クラブとして前進を実感できるように仕向けていきたいですね」
細貝社長の思いが現場の成功、会社の発展につながれば一番良い。正田醤油スタジアム群馬の老朽化など、すぐには解決しない課題もあるが、様々な働きかけを続けていくことが肝要だ。2026年が細貝社長の飛躍の年になることを強く祈りたい。
取材・文●元川悦子(フリーライター)
【画像】J1百年構想リーグに臨む各クラブの“最新序列”を一挙紹介!
【画像】今季はどう変わった?百年構想リーグに臨むJクラブの新ユニホームを特集!
記事:【ザスパ社長・細貝萌の生き様】賞金も破格の2026特別大会。スタイルを貫き、結果を出せば「経営的にも興行的にも大きなプラス」
