いつもと変わらない夜のはずだった
その日、彼は仕事で疲れたと言って、私の家で夕食をとっていました。
食後、彼がテーブルにスマホを置いていじっていました。
見るつもりはなかったのですが、トーク画面に映った一文が、どうしても目に入ってしまいました。
「また今夜、いつもの場所で」
柔らかい言い回しと、女性の名前らしきアイコン。
胸の奥が、ひやりと冷えたような感覚がありました。
返ってきた曖昧な説明
彼が戻ってきたあと、私は平静を装えませんでした。
「さっき、誰かからメッセージ来てたよね」
そう聞くと、彼は一瞬だけ表情を固くしました。
「仕事関係の人だよ」と短く答え、それ以上は話そうとしません。
「“いつもの場所”って?」と重ねて聞くと、彼は黙り込み、その夜は気まずい空気のまま帰っていきました。
信じたい気持ちと、説明されないことへの不安が、胸の中でせめぎ合っていました。
