9月27日に行なわれた欧州主要リーグでは、多くの日本人選手がプレーし、勝利に大貢献した者、奮闘が報われなかった者、精彩を欠いたままピッチを退いた者など、明暗が分かれた。
まず結果を残したところでは、マジョルカの浅野拓磨がラ・リーガ第7節アラベス戦(1-0)で決勝点をゲット。37分にセットプレーからの速攻でマルク・ドメネクのラストパスを受け、左足でゴール左隅に突き刺した。今季はこれが初ゴール。マジョルカは7試合目にして今季初勝利を飾った。
このゴールについて、ハゴバ・アラサテ監督は「細かいところが決め手になる。あの場面は、非常に良い連係プレーだった。マルクとタクのワンツー、そしてヴェダト・ムリキのプレーも加わって、良いゴールだったと思う。それが最終的に試合の流れを決めた」と賛辞を贈り、69分に負傷でピッチを退いた浅野の容態などにも言及している。
「どうやら、どこかに違和感を覚えたようだ。いまは検査の結果を待つしかない。ゴールを決めたのに残念だ。彼はチームに必要な選手。今日も勝点3を獲得するのに貢献してくれた」 現地メディアの評価を見ると、マドリードのスポーツ紙『MARCA』は3点満点の採点でチーム最高タイとなる「2」を背番号11に与え、同採点とした一方の『as』紙は「決勝ゴールを決めた。非常に精力的に動いている姿が印象的だ」と記述。バルセロナのスポーツ紙『MUNDO DEPORTIVO』は「昨季加入した日本人ウィンガーは、ここまでマジョルカで出場した26試合で3ゴール・1アシストを記録。度重なるフィジカル面の問題によって、“60分の選手”となっているが、攻撃面で貢献した試合では必ずチームが勝点を得ている」と報じた。
ブンデスリーガではフランクフルトの堂安律が、後半開始直後までに6点を先取し、終盤に4点を返されるというド派手な試合となったボルシアMGとの5節アウェーマッチで2ゴールをお膳立て。15分にこぼれ球を詰めた枠外のシュートがアンスガー・クナウフに繋がる形でチームの2点目をアシストすると、39分には左サイドを抜け出してのクロスをファレス・チャイビに合わせて4点目を生み出してみせた。
ドイツの日刊紙『Bild』は、彼のアシストを「鋭いクロス」「完璧なクロス」と表現し、フランクフルトの地元紙『Frankfurter Rundschau』は個別評価の記事で「とりわけ立ち上がりの時間帯において、堂安は相手にとってはあまりにも機敏で、常に一歩先を行き、良いアイデアを持っていた。2ゴールをアシストしたが、自身のゴールは叶わなかった」と、そのプレーを振り返っている。 ゴールやアシストこそなかったものの、重要な勝利において大きな役割を果たしたのが、クリスタル・パレスの鎌田大地だ。リバプール相手の2-1での勝利に寄与している。イスマイラ・サールの先制ゴールの場面ではCKのキッカーを務め、他にも正確なロングパスや守備での奮闘など幅広い貢献ぶりを見せた。
『Palace TV』のインタビューで、「今日は本当に良いパフォーマンスを披露できました。我々は勝利に値したと思います」と、王者に土をつける勝利に胸を張った日本代表選手に対して、英国の日刊紙『The Guardian』は「好プレーを続けた」とポジティブな評価を与え、スポーツ専門サイト『VAVEL』の英国版は、10点満点の採点でチーム最高タイとなる「8」を付与し、以下のように寸評した。
「日本代表の鎌田は、フィールドプレーヤーの中ではパレスの誰よりも多くのパスを成功させ、サウスロンドン(本拠地セルハースト・パーク)での自身最高のパフォーマンスを披露。29歳の彼は、一貫してパレスのプレッシングをリードし、MFやFWの中では最多となる3回のタックルを記録した」
一方、ブライトンの三笘薫は低調な出来に終わった。強敵チェルシーに3-1の逆転勝利を飾るという痛快なアウェーマッチにおいて、大きな見せ場もないまま67分で交代を余儀なくされた。代わりにピッチに立ったダニー・ウェルベックが2ゴールを挙げて最高殊勲者となったことで、より存在感が霞む結果となった。
この左ウィンガーに対しては、ブライトンの地元総合サイト『Sussex World』が「前半のほとんどの攻撃は右サイドから展開されており、三笘は後半も存在感を示せず、ウェルベックと交代したが、それは非常に効果的な采配となった」と総括し、採点は「5」を与えている。
ロリアンに1-3で敗れたモナコの南野拓実も、37回のボールタッチでシュートはわずか2本に止まり、65分で交代を命じられた。フランスのサッカー専門サイト『maxifoot.fr』の採点は及第点を大きく下回る「4」で、「30分にモナコの最初のシュートを放った点は評価できるが、日本代表選手にとって特筆すべきプレーはほとんどなく、この日はかなり物足りない内容だった」と厳しく評された。
そして、その不調ぶりが地元で大きな話題となっているセルティックの前田大然は、スコットランド・プレミアシップ第6節のハイバーニアン戦に右ウィングのポジションでスタメン出場。74分間プレーしたものの、今季2ゴール目は奪えず。スコアレスに終わったチームは、ハーツに首位の座を明け渡した。
セルティックのクラブ専門サイト『67HAIL HAIL』は「6」の及第点評価で、「右ウィングで起用され、ヨーロッパリーグ・レッドスター戦での45分間よりもはるかに良かった。今日は、怠慢さや努力不足の兆候は全く見られなかった」と記した。一方で日刊紙『DAILY RECORD』は「前田は本来のポジションであるサイドに戻されたが、先月の移籍失敗のショックから立ち直ったという印象は薄かった」と酷評した。
構成●THE DIGEST編集部
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